原著

成人先天性心疾患の重症心不全患者の人生の最終段階における望ましい医療について

  • 宮本 隆司1)
  • 打田 俊司2)
  • 薦田 烈3)
  • 社会福祉法人児玉新生会 児玉経堂病院
  • 愛媛大学 心臓血管外科
  • 介護老人保健施設ゆうあい苑

doi: 10.34376/jsachd.O-2023-0002 PDF

早期公開日:2023年6月28日

【背景】人生の最終段階における医療の選択権は非常に複雑化していて,本人のみで意思決定せざるを得ない状況である.今回,成人先天性心疾患の重症心不全に関して調査を行った.
【方法】令和2年9月~令和3年8月に患者及び医療従事者(医師,看護師 他)及び学生(医学生,看護学生)に対して,人生の最終段階における治療方針の決定に関する質問を郵送配送,郵送回収の方法で実施した.
【結果】人生の最終段階に多くの人が書面作成をすると回答.相談相手は,既婚者で年齢が高くなるほど子供への相談比率が増加し,両親の比率は未婚者に多かった.過ごしたい場所は,手術歴が増えるほど自宅が多数意見だったが,入院歴が増えるほど自宅および病院以外の比率が増加した.希望する治療方針は,内科的治療が優先されたが,入院歴ありの群では内科的治療よりも外科的治療の比率の方が高かった.
【結論】人生の最終段階においては,色々な考えが生じて様々な治療選択があることが判明した.患者さんがどのような終活を希望されるかを調査するACP (Advance Care Planning)がとても重要であると推察された.

キーワード:アドバンスド・ケア・プランニング,成人先天性心疾患,重症心不全,人生最終段階