症例報告

膜様部中隔瘤の中に真珠様の心内結石を形成していた,成人心室中隔欠損症の一手術例

  • 小坂井 基史1)
  • 加藤 亙1)
  • 犬飼 幸子2)
  • 櫻井 一3)
  • 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院心臓血管外科
  • 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院小児科
  • 名古屋大学医学部附属病院小児循環器センター心臓外科

doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0001 PDF

早期公開日:2024年4月12日

先天性心疾患に心内結石を合併した,非常に稀有な手術症例を経験したので報告する.症例は20歳女性,心室中隔欠損症の精査目的に当院紹介となり,精査ののち手術適応と判断した.右房アプローチで傍膜様部心室中隔欠損閉鎖術を施行した.三尖弁中隔尖は膜様部中隔瘤を形成していた.欠損孔の全貌を視認するため膜様部中隔瘤を切開したところ,内部よりまるで真珠のような,4.0 mm大の固い白色結石が現れた.体循環系への滑落を防ぐため,速やかに注意深くこれを膜様部中隔瘤から摘出した.病理検査では,慢性炎症の所見を認めた.我々は,感染性心内膜炎が膜様部中隔瘤の内部に隔離されて慢性炎症が長期間持続したことが,この心内結石の成因であろうと推察した.これを放置した場合,重大な塞栓症の合併や感染性心内膜炎の再燃,三尖弁機能不全,右心不全などのリスクが潜在すると考えられる.よって,膜様部中隔瘤を伴う成人心室中隔欠損症症例ではこのような心内結石の合併を念頭に置き,画像検査で術前にその存在を認識し,手術で確実に摘出することが重要であると考える.

キーワード: 心室中隔欠損症,膜様部中隔瘤,心内結石,感染性心内膜炎