Fontan術後に肝細胞癌を発症した左心低形成症候群の15歳例
- 荻野 佳代1),
- 土井 悠司1),
- 林 知宏1),
- 脇 研自1),
- 新垣 義夫1),
- 髙畠 弘行2),小野 貴史3),
- 石坂 幸雄3)
- 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院小児科
- 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院消化器内科
- 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院放射線診断科
doi: 10.34376/jsachd.C-2022-0003 PDF
早期公開日:2023年1月31日
Fontan関連肝疾患(FALD; Fontan-associated liver disease)のひとつに肝細胞癌が知られている.術後遠隔期の発症で,若年成人以降の報告が大半を占める.蛋白漏出性胃腸症および鋳型気管支炎を合併し,Fontan術後13年に肝細胞癌と診断された小児例を報告する.症例は15歳男性.左心低形成症候群に対して,2歳0ヵ月に開窓つきFontan手術を施行された.3歳に蛋白漏出性胃腸症を発症し,左肺動脈狭窄に対するステント留置後に一旦寛解した.6歳に鋳型気管支炎を発症した.7歳に外科的に左肺動脈拡大術および開窓部拡大術を施行した.その後は経皮的に開窓部の拡大および体肺動脈側副血行路のコイル塞栓を反復した.15歳に肝臓超音波検査でS5/8領域に21mm大の不均質な腫瘤を確認し,肝生検にて高分化型肝細胞癌と診断された.Fontan循環不全の例では,より早期から肝細胞癌発症を念頭に置いた肝臓超音波検査を定期的に施行することが重要である.
キーワード:フォンタン術後症候群,肝細胞癌,フォンタン手術,フォンタン循環破綻,左心低形成症候群