症例報告

重症肺高血圧を伴う心室中隔欠損症に対して“treat and repair”で治療し得た2症例

  • 西崎 晶子1)
  • 石北 綾子1)
  • 柿野 貴盛1)
  • 永田 弾2)
  • 山村 健一郎2)
  • 坂本 一郎1)
  • 小田 晋一郎3, 4)
  • 帯刀 英樹3, 5)
  • 塩瀬 明3)
  • 九州大学病院循環器内科
  • 九州大学病院小児科
  • 九州大学病院心臓外科
  • 京都府立医科大学病院小児心臓血管外科
  • 宮城県立こども病院心臓血管外科

doi: 10.34376/jsachd.C-2023-0004 PDF

早期公開日:2023年8月2日

心室中隔欠損症(VSD)の多くは幼少期に診断され,成人期到達時には自然閉鎖,または手術されていることが多く,成人期で手術適応となることは稀である.成人期のVSDではシャント量の少ない小さなVSDか,すでに肺高血圧を伴い治療適応外と診断されたVSDが見られる.特に重症肺高血圧を伴うVSDではEisenmenger症候群と診断され,保存的な治療のみで経過観察されてきた症例が存在する.しかし近年肺高血圧治療薬の進歩により,重症肺高血圧を伴うVSDであっても,肺高血圧治療薬で治療した後に外科的治療を行う“treat and repair”が有用であると報告されている.今回,重症肺高血圧を伴うVSDに対して“treat and repair”で外科的治療に到達し得た2例を報告する.

キーワード:Pulmonary arterial hypertension, Ventricular septal defect, Treat-and-repair