日本成人先天性心疾患学会 理事長挨拶
理事長 赤木禎治

2022年から2期目の理事長を拝命することになりました赤木禎治です。
みなさまよろしくお願いいたします。
日本成人先天性心疾患学会の会員数は1000名を越える規模になりました。小児循環器,循環器内科,心臓血管外科を主体に,産婦人科,麻酔科,消化器内科,歯科など多くの分野の先生にご参加いただいております。また看護,心理といった多領域職種に加え患者さんご自身も学会員として参加していただいていることも,私たちの学会の大きな力となっております。
国内における成人先天性心疾患患者数はすでに50万人を越える状況となっています。その多くの方が社会を支える現役世代であり,これから子育てを考えられる年代でもあります。このような患者さん方が,安心して適切な医療を受けられるよう,日本全国に成人先天性心疾患診療体制を構築していくのが,本学会に課された重要な課題であると考えています。
新たに策定されました循環器病対策基本計画の中にも,「小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策」が盛り込まれ,「小児期から成人期にかけて必要な医療が切れ目なく行える医療体制を整備すること」が求められています。日本成人先天性心疾患学会の総合修練施設,連携修練施設が中心となって,全国の診療体制を構築していく必要があります。また実際に成人先天性心疾患の診療の中心となる専門医の養成も重要です。2022年から日本成人先天性心疾患学会専門医制度がスタートします。これからも本領域の診療体制が切れ目なく維持できるよう,専門医を目指す新たな人材を増やしていきたいと思います。
今後,成人先天性心疾患領域で予想されることは,より複雑で重症な先天性心疾患の患者さんが成人領域に達することです。これらの患者さんは心不全,不整脈,肺高血圧など成人期に新たに治療介入が必要となる可能性がこれまで以上に高い方々になります。今後は循環器内科領域での対応が必要となる患者さんが大きく増加する可能性があります。このため医療従事者のみならず社会全体に成人先天性心疾患の問題を理解していただけるよう,学術集会やセミナーを通して活動を広げていきたいと考えています。
新しい診療技術・医療体制の構築のため,学会で一丸となってエビデンスの創出に取り組みたいと思います。現在も多くの共同研究が進んでおりますが,国際的に評価される質の高い学術活動を行っていきたいと考えています。成人先天性心疾患は国際的にも活発な情報交流が行われています。日本成人先天性心疾患学会も,特にアジア地区の基幹学会として,アジア地域の成人先天性心疾患の診療・教育体制に貢献していきたいと思っています。
皆さま方のご協力をよろしくお願いいたします。