本学会の芽生えは,日本循環器学会学術委員会が企画し、1998年に発足した成人の先天性心疾患の治療及び合併症予防のガイドライン作成の研究班(班長:東京女子医科大学循環器小児科 門間和夫教授)に始まる。
この研究班は、班員11人に班友11人で構成され、分担で、成人の先天性心疾患の治療及び合併症予防のガイドライン作成を行った。1999年1月に、この研究班が、公開した研究発表会をかねて研究発表会を開いた。これが、第1回成人先天性心疾患研究会(会長:門間和夫)であり、循環器小児科、心臓血管外科、循環器科、産科などから広く参加者を得た。
その後、第2回成人先天性心疾患研究会(会長:門間和夫教授)は、成人先天性心疾患診療ガイドライン発表会をかねて、2000年に開催された。このときは参加者が増加し、UCLA/Ahmanson Adult Congenital Heart Disease CenterのDirectorで、この分野の世界的な第一人者であるJoseph K Perloff教授が特別講演者として招かれた。成人の先天性心疾患の治療及び合併症予防のガイドライン作成の研究班のその成果は、循環器病の診断と治療に関するガイドライン(1998-1999年度合同研究報告)成人先天性心疾患診療ガイドラインJapanese Circulation Journal 2000;64 Supple IV, page 1167-1204. として公表された。2回の研究会開催後、学術団体として公的な研究会設立の機運が高まり、2001年第3回成人先天性心疾患研究会(会長:加藤裕久)において正式に世話人代表(門馬和夫)、世話人、会則、事務局が決定した。研究会の正式名称は日本成人先天性心疾患研究会(Japanese Society for Adult Congenital Heart Disease)となった。また、研究会の目的が、成人先天性心疾患研究を通して広く人類の健康の増進に資することと決定され、この研究会の正式なスタートとなった。同時に、学会web pageも開設(立野滋)され、広く研究会の広報を続けている。その後、研究会は、順調に会員数を伸ばし2001年には、300人を超え、学会員の専門科目も循環器小児科、循環器内科、心臓血管外科、産科、麻酔科、心理学など多岐にわたり、学術集会参加者も医師、技師、多職種専門職、心理学者と幅広い職種や患者及びその家族が参加するようになった。このような背景から、2010年1月9日の世話人会において、研究会から学会への移行が世話人の全員一致で決議された。初代理事長として、世話人代表であった丹羽公一郎が選任された(副理事長:赤木禎治、八尾厚史)。このときから団体の名称を、日本成人先天性心疾患学会へと変更した。
世界成人先天性心疾患学会(International Society for Adult CHD; ISACHD)や欧州成人先天性心疾患学会(European Grown Up Congenital Heart Disease: Euro GUCH)との密接な提携と相互交流を強めた。また、2008年に設立されたアジア成人先天性心疾患学会(Asia Pacific Society for ACHD;APSACHD)は、2010年7月に東京で学術集会を開き、その後も本学会との提携をつづけている。
毎年学術集会を開催しているが、学術集会会長は、循環器内科、循環器小児科、心臓血管外科、産婦人科会員が担当して、それぞれの専門科に特徴的なセッション構成で開催している。この点も本学会の大きな特徴である。毎年、学術集会には、国内外から約600〜800名程度が参加している。アジアからの参加者が多い点も特徴の一つである。2019年1月の第21回日本成人先天性心疾患学会学術集会(会長:伊藤浩教授)では、第1回Asia-Pacific Society for Adult Congenital Heart Disease Symposiumも同時開催された。また、2007年からは、この分野の教育を目的として、成人先天性心疾患セミナーを開始し、2012年からは、年2回の開催を継続している。
成人先天性心疾患ガイドラインは、本学会の参加のもと(2011年丹羽公一郎班長)、2017年(市田蕗子班長)に改訂版が発刊されている。また、2018年に移行医療に関する提言が、本学会を含む8学会から上梓されている。
会員数は順調に増加して、2019年には1000名を超える会員数を擁する学会と成長している。
2019年4月1日より、学会独自の専門医制度であるが、暫定専門医制度を開始した。成人先天性心疾患暫定専門医(173名)および専門医修練施設(81施設)を認定し、我が国の成人先天性心疾患の診療体制・教育体制をさらに強化している。専門医制度確立には、松田暉、市田蕗子を中心として開始し、専門医修練施設に関しては、成人先天性心疾患対策委員会(循環器内科ネットワーク)(八尾厚史)の所属施設と厚労科研研究班(白石公)データが広く認定に役立っている。
2020年には、理事長が交代(赤木禎治)し、2020年4月には、一般社団法人化への移行が行われる予定である。
【団体】
日本成人先天性心疾患研究会発足:1998年1月
日本成人先天性心疾患学会へ移行:2010年1月
一般社団法人日本成人先天性心疾患学会へ移行:2020年4月
【歴代世話人代表・理事長】
2000年〜2004年1月初代 世話人代表 門間和夫
2004年1月〜2010年1月二代 世話人代表 丹羽公一郎
2010年1月〜2020年1月初代理事長 丹羽公一郎
2020年2月〜二代理事長 赤木禎治
【会員数】
352名(2012年12月31日時点)
450名(2013年12月31日時点)
497名(2014年12月31日時点)
596名(2015年12月31日時点)
729名(2016年12月31日時点)
779名(2017年12月31日時点)
997名(2018年12月31日時点)
1062名(2019年12月31日時点)
研究会 | 会 長 | 開催日 | 会 場 |
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第1回 | 門間 和夫 | 1999年1月9日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第2回 | 門間 和夫 | 2000年1月8日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第3回 | 加藤 裕久 | 2001年1月13日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第4回 | 黒澤 博身 | 2002年1月12日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第5回 | 宮武 邦夫 | 2003年1月11日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第6回 | 丹羽公一郎 | 2004年1月10日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第7回 | 石澤 瞭 | 2005年1月8日 | フクダ電子株式会社本郷事務所 |
第8回 | 八木原俊克 | 2006年1月7日~8日 | フクダ電子株式会社本郷事業所 |
第9回 | 高橋 長裕 | 2007年1月13日~14日 | フクダ電子株式会社本郷事業所 |
第10回 | 中西 敏雄 | 2008年1月12日~13日 | 東京女子医科大学弥生記念講堂 |
第11回 | 赤木 禎治 | 2009年1月10日~11日 | 岡山コンベンションセンター |
第12回 | 千葉 喜英 | 2010年1月9日~10日 | 梅田スカイビル |
第13回 | 城尾 邦隆 | 2011年1月8日~9日 | 福岡国際会議場 |
第14回 | 市田 蕗子 | 2012年1月14日~15日 | 聖路加看護大学 |
第15回 | 松尾 浩三 | 2013年1月19日~20日 | 学術総合センター 一橋記念講堂 |
第16回 | 佐野 俊二 | 2014年1月11日~12日 | 岡山コンベンションセンター |
第17回 | 庄田 守男 | 2015年1月17日~18日 | 学術総合センター 一橋記念講堂 |