症例報告

左Blalock–Taussig原法術後40年が経過した超遠隔期の短絡吻合部狭窄に対する経皮的血管形成術の治療経験

  • 森 有希1, 2)
  • 藤本 一途1, 2)
  • 黒嵜 健一2)
  • 大内 秀雄1, 2)
  • 国立循環器病研究センター成人先天性心疾患センター
  • 国立循環器病研究センター小児循環器内科

doi: 10.34376/jsachd.C-2023-0003 PDF

早期公開日:2024年1月19日

Blalock–Taussig短絡手術(BT短絡手術)は肺血流減少型のチアノーゼ性先天性心疾患(C-CHD)に対して体循環を担う鎖骨下動脈を直接(BT原法)あるいは人工血管を介して(BT変法)肺動脈へ吻合し,短絡路を作成することで肺血流を確保する外科的治療である.肺血流量の増加によりチアノーゼは軽減し,さらには肺血管床の発達や前負荷増大による体心室容積の増大を目的とし,心内修復術までの繋ぎとする姑息術である.しかし,様々な理由で心内修復術に到達できずBT短絡に依存した状態で成人期を迎えるC-CHD患者が存在する.その場合,遠隔期のBT短絡の機能不全は低酸素血症の進行をきたし,ADLへの影響のみならず,ときに致死的になりえるため,適切な診断と管理が必要である.我々は,心内修復術に至らなかったもののBT変法による短絡術により長期に安定していた成人C-CHD患者において,術後40年経過し短絡血管の高度吻合部狭窄によって低酸素血症が進行し,経皮的血管形成術により症状の改善を得ることができた2症例を経験した.BT原法術後超遠隔期の短絡血管吻合部狭窄に対するカテーテル治療の報告は少なく,貴重な経験として報告する.

キーワード:Blalock–Taussig shunt, shunt stenosis, percutaneous transluminal angioplasty, cyanosis, adult congenital heart disease