集学的治療を要した子宮体癌を合併したEbstein病成人例
- 丸谷 怜1),
- 西 孝輔1),
- 上嶋 和史1),
- 髙田 のり1),
- 西野 貴子2),
- 城 玲央奈3),
- 中松 清志4),
- 法里 慧5),
- 杉本 圭相1),
- 稲村 昇1)
- 近畿大学医学部小児科学教室
- 近畿大学医学部心臓血管外科学教室
- 近畿大学医学部産科婦人科学教室
- 近畿大学医学部放射線医学教室(放射線腫瘍学部門)
- 近畿大学医学部麻酔科学教室
doi: 10.34376/jsachd.C-2021-0002 PDF
早期公開日:2022年3月25日
症例は51歳の女性.生来健康であったが,50歳前から腹部膨満を自覚していたが放置していた.51歳になり労作時呼吸困難で前医を受診し,経皮酸素飽和度の低下と大量の腹水を指摘され緊急入院となった.Magnetic Resonance Imaging (MRI)で子宮体癌を疑われ,内膜細胞診で確定診断したが,腹水細胞診は陰性であった.心エコー検査で重度の三尖弁閉鎖不全を伴うEbstein病と診断した.腹水と経皮酸素飽和度の低下は右心不全によるものと判明し,当院に転院となった.我々は関連各科が連携してがん治療と心臓治療を行った.どちらの疾患も早期の治療が必要であった.子宮体癌には放射線治療を選択し,放射線治療後に弁形成を行い救命することができた.本症例は先天性心疾患を含む複数の異なる疾患を合併し,複数科の連携で治療に成功した貴重な症例であり,報告する.
キーワード:
Ebstein anomaly, Uterine cancer, Multidisciplinary treatment