Fallot四徴症に対するRastelli手術後遠隔期に上行大動脈仮性瘤と心外導管狭窄をきたした一例
- 若林 豊1),
- 椛沢 政司1, 2),
- 浅野 宗一1),
- 村山 博和1),
- 立野 滋2, 3),
- 川副 泰隆2, 3),
- 岡嶋 良知2, 3),
- 武智 史恵2, 3),
- 森島 宏子2, 3),
- 松尾 浩三1, 2)
- 千葉県循環器病センター心臓血管外科
- 千葉県循環器病センター成人先天性心疾患診療部
- 千葉県循環器病センター小児科
doi:10.34376/jsachd.C-2021-0003 PDF
早期公開日:2022年3月25日
症例は52歳,男性.Fallot四徴症に対して5歳時にWaterston手術,11歳時にRastelli手術が行われている.その際に,左肺動脈が閉塞していたため,上行大動脈右側を経由して右肺動脈へHancock弁(22 mm)付心外導管再建手術が行われた.44歳時から動悸を自覚するようになり,外来での心エコー上,右室流出路狭窄の進行が認められた.今回,心臓カテーテル検査にて心房内リエントリー頻拍,上行大動脈仮性瘤,右室–右肺動脈心外導管狭窄と診断され,手術目的にて当科へ紹介となった.胸部CTにて,心外導管狭窄は上行大動脈仮性瘤による圧排とHancock弁の劣化によるものであると考えられた.手術は,上行大動脈仮性瘤切除,心外導管交換,右房Maze手術を施行した.術後31日目に軽快退院となった.人工弁を使用した右室流出路再建手術後には,心外導管の走行経路によって,人工弁ステントポストの慢性的な機械的刺激が上行大動脈に加わり,大動脈仮性瘤を形成する可能性があることも念頭においてフォローする必要があると思われた.
キーワード:
Fallot四徴症,Rastelli手術,上行大動脈仮性瘤