原著

急性心疾患遺族調査からみたACHD患者の「良い死」

  • 川松 直人1, 2)
  • 水野 篤3)
  • 立野 滋4)
  • 河野 隆志5)
  • 東谷 廸昭6)
  • 北井 豪7)
  • 柴田 龍宏8)
  • 武井 眞9)
  • 後岡 広太郎10)
  • 中澤 学11)
  • 塩見 紘樹12)
  • 千葉 義郎2)
  • 石津 智子1)
  • 筑波大学循環器内科
  • 水戸済生会総合病院循環器センター循環器内科
  • 聖路加国際病院心血管センター循環器内科
  • 千葉市立海浜病院成人先天性心疾患診療部
  • 慶應義塾大学循環器内科
  • 東京逓信病院循環器内科
  • 国立循環器病研究センター心臓血管内科
  • 久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門
  • ACHD program, Stanford University
  • 東北大学病院循環器内科
  • 東海大学循環器内科
  • 京都大学医学部附属病院循環器内科

doi: 10.34376/jsachd.O-2024-0010 PDF

早期公開日:2025年3月21日

【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者のアドバンスケアプランニング(ACP)や緩和ケアについて知見が十分でない.
【方法】調査票による多施設共同遺族調査からACHD患者と非ACHD患者を比較した.
【結果】対象250例のうちACHD患者7例(33±8歳,心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,三尖弁閉鎖症,右室型単心室症が各1名,ファロー四徴症3名)であった.Good Death Inventory (GDI)はACHD群69.0±12.6点,非ACHD群で75.0±15.7点であった.GDI各項目では「人生をまっとうしたと感じていた」,「自然に近いかたちで過ごせた」,「大切な人に伝えたいことを伝えられた」,「生きていることに価値を感じられた」に否定的な回答が多かった.6名が主治医とACPしていたが5名は蘇生処置に関してであった.
【結論】ACHD患者の「良い死」の改善余地が示唆された.充実したACPにより死の質を改善可能か検証が必要である.

キーワード:緩和ケア,Good Death Inventory,アドバンスケアプランニング(ACP),患者遺族