青少年期からの超音波スクリーニングの重要性が示されたFontan術後肝内腫瘤の2例
- 石井 陽一郎1),
- 藤崎 拓也1),
- 森 雅啓1),
- 松尾 久実代1),
- 浅田 大1),
- 金谷 知潤2),
- 津村 早苗2),
- 石田 秀和3),
- 成田 淳3),
- 世良 英子4),
- 坂田 泰史4),
- 青木 寿明1)
- 大阪母子医療センター循環器科
- 大阪母子医療センター心臓血管外科
- 大阪大学大学院医学系研究科小児科学
- 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0009 PDF
早期公開日:2025年2月7日
Fontan術後12年,16年と早期に肝内腫瘤を発症した2例について報告する.
【症例1】18歳男性.右側相同,単心室症に対して6歳時にFontan手術に到達した.16歳時の心臓カテーテル検査では,単心室圧84/(8) mmHg, EF 57%, CVP 13 mmHg, CI 2.1 L/min/m2であり,Fontan循環としては概ね安定していた.18歳時の腹部超音波検査にて,肝左葉に径15 mm大の腫瘤を指摘された.CT/MRIよりHCCと診断し,外科治療を要した.
【症例2】21歳男性.両大血管右室起始,三尖弁狭窄に対して4歳時にFontan手術に到達した.21歳時の心臓カテーテル検査では,右室圧83/(5) mmHg, EF 57%, CVP 9 mmHg, CI 5.1 L/min/m2であり,良好なFontan循環を維持していた.21歳時の腹部超音波検査にて,肝左葉に径19 mm大の腫瘤を指摘された.CT/MRIより限局性結節性過形成と診断し,経過観察中である.
Fontan術後は血行動態が安定していてもHCCを含めた肝腫瘤病変が早期に発生することを念頭に,定期的な画像検査を施行する必要がある.
キーワード:Fontan手術,Fontan関連肝疾患,肝細胞癌,限局性結節性過形成,超音波検査