狭小左房を伴う先天性僧帽弁狭窄症に対する再々僧帽弁置換術においてSuperior Transseptal Approachで弁輪拡大し人工弁の3サイズアップに成功した1例
- 德永 滋士1),
- 森田 英幹1),
- 藤井 健人1),
- 山内 豪人1),
- 白杉 岳洋1),
- 長野 博司1),
- 狩野 実希2),
- 星野 健司3),
- 野村 耕司4)
- さいたま赤十字病院心臓血管外科
- さいたま赤十字病院循環器内科
- 埼玉県立小児医療センター循環器科
- 埼玉県立小児医療センター心臓血管外科
doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0008 PDF
早期公開日:2025年1月23日
症例は22歳女性.先天性僧帽弁狭窄症,動脈管開存症に対して2歳時に僧帽弁置換術(Carbomedics 16 mm),動脈管結紮術,13歳時に再僧帽弁置換術(SJM 19 mm),三尖弁輪形成術を施行.今回肺高血圧が進行し,僧帽弁位人工弁患者不適合(PPM)を認めたため,再々僧帽弁置換術を施行した.手術はSuperior Transseptal Approachで左房内に到達した.左房は非常に小さく,23 mmのサイザーが左房を通過しなかったが,心房中隔を切開線から僧帽弁輪側に切り開き,切り開いた心房中隔に縫着糸をかけることで25 mmSJM弁を縫着することができた.欠損した心房中隔はゴアテックス®心臓修復用パッチで補填し,左房を閉鎖した.若年期に僧帽弁置換術を施行された患者は,成長とともにPPMが出現し,再置換が必要となるが,狭小左房等を理由にサイズアップが困難な症例において,本症例で行った術式は有用であると考えられた.
キーワード:先天性僧帽弁狭窄症,僧帽弁置換術,再手術