Native aortic root 内血栓によって急性心筋梗塞を来した左心低形成症候群,Fontan 術後成人症例について
- 朝貝 省史1),
- 原田 元1),
- 島田 衣里子1),
- 石戸 美妃子1),
- 山口 淳一2),
- 稲井 慶1)
- 東京女子医科大学病院 循環器小児・成人先天性心疾患科
- 東京女子医科大学病院 循環器内科
doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0007 PDF
早期公開日:2024年10月25日
左心低形成症候群ではNorwood術後にNative aortic root内の血栓形成により冠動脈灌流障害を来すことが稀に報告されている.症状は心電図異常のみ,胸痛などの軽症例から心停止に至る重症例まで様々であり,早期発見,治療が望ましい.症例は左心低形成症候群,Fontan術後20年経過した22歳,男性.リステリア菌髄膜炎を発症後に胸痛,ST上昇の心電図異常を来し,Native aortic root内の血栓形成から急性心筋梗塞を発症した.Fontan術後患者では静脈系や体循環に血栓形成を認める症例は時折経験するが急性心筋梗塞を発症する症例は稀である.このような心筋梗塞の発症は患者の予後に重大な影響があることから,早期に発見し介入する必要があり,ここに報告する.
キーワード:hypoplastic left heart syndrome,Fontan procedure,native aortic root thrombosis,coronary embolization