野生型トランスサイレチン心アミロイドーシスによる左室拘束性障害を合併し,経皮的デバイス閉鎖により左室拡張障害の改善を得た心房中隔欠損症の一例
- 長谷川 早紀1),
- 潟手 庸道1),
- 荒井 隆秀1),
- 小島 拓朗2),
- 小林 俊樹2),
- 中埜 信太郎1)
- 埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科
- 埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科
doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0006 PDF
早期公開日:2024年8月2日
心房中隔欠損症(atrial septal defect; ASD)の経皮的デバイス閉鎖は,有効性や安全性が報告されているが,左室拡張障害合併例では閉鎖後に肺うっ血をきたすことがあり,慎重な判断を要する.今回,左室拘束性障害を呈する野生型トランスサイレチン心アミロイドーシス(wild-type transthyretin cardiac amyloidosis; ATTRwt-CA)を合併したASD症例に対して,バルーン閉鎖試験評価後に経皮的デバイス閉鎖術を施行した.閉鎖前の心臓超音波検査の左室流入血流速波形では拡張早期波減速時間(deceleration time; DcT)は短縮していたが,閉鎖後に右室縮小に伴いDcTの短縮が改善しており,ventricular interdependenceの是正により左室拡張障害の改善が得られた.ASD閉鎖によりATTRwt-CAの心不全管理が容易になる可能性があり,経皮的デバイス閉鎖は有効な治療選択肢として検討されうると考えられた.
キーワード:atrial septal defect, wild-type transthyretin cardiac amyloidosis, diastolic dysfunction, ventricular interdependence, balloon occlusion test