症例報告

成人先天性心疾患の修復術後に皮下植え込み型除細動器植え込みを行った2例

  • 山本 哲也1, 2)
  • 桑原 直樹1)
  • 田中 秀門1)
  • 寺澤 厚志1)
  • 桑原 尚志1)
  • 小倉 健3)
  • 渕上 泰3)
  • 岩田 祐輔2, 3)
  • 岐阜県総合医療センター小児循環器内科
  • 岐阜県総合医療センター成人先天性心疾患診療科
  • 岐阜県総合医療センター小児心臓外科

doi: 10.34376/jsachd.C-2024-0002 PDF

早期公開日:2024年11月29日

【背景】皮下植え込み型除細動器(subcutaneous implantable cardioverter-defibrillator, S-ICD)が日本でも認可され適応が広がっている.
【症例1】22歳,女性,右室低形成・心房中隔欠損・三尖弁逆流で,10歳時に紹介受診,右左シャントは軽度で保存的管理を行った.22歳時に心室頻拍に対するカテーテルアブレーションを施行したが再発したため,除細動器植え込みの適応と判断した.アブレーション施行後に三尖弁逆流増悪・右左シャント増加のため,one and a half ventricle repair・三尖弁形成術を施行し,その後S-ICD植え込み術を施行した.
【症例2】17歳,男性,完全大血管転位・心室中隔欠損・肺動脈狭窄でRastelli手術を含む修復術後,Rastelli再手術を計画中に心室細動を発症した.蘇生後にRastelli手術を行い,その後,S-ICD植え込み術を施行した.
【結語】複雑型先天性心疾患患者における心臓突然死二次予防としてのICD植え込みにおいて,経静脈リードが留置できず,徐脈性不整脈治療を必要としない症例では,S-ICDが適応となる.その一方で,S-ICDでは,術後心房粗動などによる不適切作動が起こりえることから,植え込み術前評価だけでなく,植え込み後も慎重な評価を行い,ショックリダクションに努める必要がある.

キーワード:皮下植え込み型除細動器,心室頻拍,心室細動,孤立性右室低形成,完全大血管転位