症例報告

フォンタン術後患者のCOVID-19肺炎に対して陽圧換気で循環動態の破綻と低酸素血症を来した症例~救急医の立場から:フォンタン循環患者カードの作成の提言について~

  • 大江 将史,
  • 井手 博敏,
  • 柴田 裕介,
  • 丸山 尊,
  • 岩本 桃子,
  • 島 惇,
  • 上田 剛士

洛和会丸太町病院救急総合診療科

doi: 10.34376/jsachd.C-2022-0004 PDF

早期公開日:2022年12月13日

フォンタン術後の患者は,体静脈循環が肺動脈へ直接還流する血行動態を有しており,高い陽圧換気では循環動態が容易に破綻する.
今回,フォンタン術後であることが事前に判明していなかったCOVID-19肺炎の20歳代男性に対して陽圧換気を行ったところ,循環動態が破綻し低酸素血症を来し,VA-ECMOで救命し得た症例を経験した.
2019年にCOVID-19が蔓延して以来,本症例のようにフォンタン術後患者を内科医・救急医・集中治療医が診療するケースは増えている.しかし,フォンタン循環に対する高い陽圧換気の危険性についてはあまり知られていない.本症例を通じて,フォンタン術後患者で希望される方には,フォンタン循環の治療における注意点等が記載された『フォンタン循環患者カード』(別記)を携帯できるように提言する.

キーワード:フォンタン循環,COVID-19肺炎,高PEEP,フォンタン循環患者カード