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兵庫県立こども病院循環器科 城戸佐知子
兵庫県立こども病院は創立30周年を越え,その間に多くの患者さんたちが成人となられました.一昨年,当院で経過観察中の成人患者さん(キャリーオーバー患児)がどのくらいいらっしゃるのかという調査をしましたところ,容易に内科への転科が可能であった患者さんを除いても実に1,400名もいらっしゃいました.また,今後も検査や治療のために入院を必要とする可能性のある患者さんも300名以上もおられます(下記の表参照).
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経過観察が必要な人数 |
検査・治療で入院が
必要となる人数 |
| 循環器・心臓外科 |
300 |
>100 |
| 一般外科 |
750 |
75 |
| 脳神経外科 |
220 |
70 |
| 小児内科 |
115 |
55 |
その中で,当院の循環器および心臓外科の外来に通う成人患者さんについてまとめてみたところ以下のような結果になっています.疾患の多くは心臓手術後の患者さんで,少数ですが川崎病冠動脈後遺症,未手術の患者さんもいらっしゃいます.
今回の調査の対象としたのは1993年以降に一度でも当院外来を受診した,手術既往のある18歳以上の先天性心疾患患者さん222名でした(年齢は18.4〜31.7歳,男性:女性=120:102).その中には,経過観察のみで通院されている患者さん98名,治療・投薬がある患者さん20名,通院終了となった患者さんは31名,他院に紹介した患者さん31名などでした.またいろいろな事情で,通院が必要ですが来ておられない患者さんや,通院をいつまでしなければならないか判断が難しい患者さんもいらっしゃいます.
では,疾患として実際にどんな問題を抱えていらっしゃるのか調べてみましたところ,以前の手術方法で手術が行われていて現時点でいろいろと問題が残っている場合,疾患そのものが重症で外科的手術のみで治療可能ではない場合,手術方法の限界で術後に弁狭窄や逆流が残ってしまう場合,不整脈,人工弁やペースメーカー植込後,その他自覚症状の訴えがあり通院されている患者さん,などでした.
そこで,患者さんたちにアンケートをお願いいたしました.無作為に選んだ年 2 回以上通院している成人患者さん約50名の方々にアンケートをお渡しし,38名の方から回答を頂きました.
まず現在の状態を尋ねますと以下のような回答がありました.
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1.健康状態
(1)良好
(2)強い労働・運動で疲労感あり
(3)軽い労働・運動で疲労感あり
(4)安静が必要 |
2.病気に対する不安
(1)全く心配していない
(2)時々不安になる
(3)とても不安 |
また,こども病院についての質問では以下のような回答が得られました.
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1.こども病院への通院について
(1)何も思わない
(2)周囲の目が気になる
(3)成人なのにこども病院に通うのは異和感がある |
2.通院希望
(1)こども病院
(2)内科に
(3)どちらでも |
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1.通いやすい病院は
(1)気にならない
(2)心臓の病気として子どもから成人まで診てほしい
(3)子どもと成人は別がよい |
2.外来は
(1)成人の外来があれば通いたい
(2)特にこだわらない |
循環器疾患に限らず,成人となっても経過観察を必要とする疾患は多様で,程度はさまざまですが問題を残している場合も多く,小児病院として今後も経過を診る必要があることも少なくはないようです.また,アンケートの結果からも,多くの患者さんは比較的元気に日常生活を送っておられますが,疾患については多少なりとも不安を抱えていらっしゃることが明らかとなりました.また,多数の患者さんが,幼少時期から通院している病院で引き続き経過観察・検査・治療を希望されていることもわかりました.
実際には,現時点でこども病院という枠の中だけでは,成人となられた患者さん方を受け入れる設備も環境も,対応可能な経験豊かなスタッフもいないのです.一方,内科やいわゆる大人のための病院では,小児科からのキャリーオーバー患児の問題はごく片隅の問題で,疾患の特殊性も手伝って内科の医療関係者の関心も薄くなってしまいます.この成育医療の問題は,今後医療の発達とともに大きくなっていくことは必至です.誰か個人の熱意と興味だけでは支えきれない時代がすぐそこに来ているのです.こども病院としてどのように対応していくか,というよりも,医療システムとしてどのように対応していくか,患者さんのための新しい環境作りが必要であろうと思います.
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