HOME > FAQ > 心臓病とピル

心臓病とピル

ご質問

29歳 女性

エプシュタイン奇形と診断されていますが、4年前にWPW症候群に対してアブレーション治療を行って以来、現在は年に一度の定期健診のみ行っています。今現在妊娠は望んでおらず、また生理痛もひどいためピルの服用も考えていますが、ピルの服用に関して調べたところ心臓弁膜症の患者には注意が必要とありました。やはり私の場合も服用に関してリスクが高いのでしょうか?ご回答お願いします。



お答え

Ebstein 奇形は、三尖弁の付着位置と機能異常、右室心筋の形成異常を特徴とします。三尖弁・右心室・肺動脈などの形態や機能の程度に従って、心不全やチアノーゼを合併します。また、高率に合併するWPW症候群に起因する頻脈や、右心房拡大に起因する心房性頻脈を合併することがあります。疾患の variation が非常に広く、重症度も多様なため、個々の患者さんに適した治療方針を検討する必要があります。
質問者の方は、アブレーション治療によりWPW症候群は完治し、心不全・チアノーゼ症状は無く、特別な内服もしていない、現在妊娠は望んでいない、生理痛がひどいのでピルの内服を検討している、ということでしょうか?正確な病状はわかりませんので、一般論としてご説明致します。
Ebstein 奇形の患者さんの妊娠は、心不全・チアノーゼ・不整脈などが無くて、心機能が良好であれば、比較的安全であると言われています。ただし、チアノーゼが残る場合などは、流早産や死産が高いことが知られています。また、心疾患においては、たとえ現在の状態がよくても、加齢に伴って悪化することも珍しくはありません。もし、将来の妊娠を考えているのであれば、病状の安定している、比較的若いうちの妊娠・出産をおすすめします。妊娠の時期の検討は、ご家族や循環器担当医を交えて、今のうちから始めておいた方がいいでしょう。
次に生理痛の治療についてご説明します。ひどい生理痛があるのなら、まず、産婦人科専門医の診察を受けることをおすすめします。婦人科的疾患(子宮内膜症、子宮筋腫、その他の疾患)の有無や、月経困難症の程度によって、治療法は変わってくるからです。ピルを内服するかどうかは、現在の心疾患の病状を考慮した上で、検討する必要があります。ピルは排卵を抑制し、生理痛を緩和させるため、避妊目的や月経困難症の治療などに使用されています。しかし、凝固能を亢進させるため、心血管障害や脳卒中のリスクを高めます。弁膜症や動脈硬化症のある場合は、これら合併症のリスクが更に高くなります。Ebstein 奇形には、程度の差はありますが、三尖弁の異常を伴います。以上より、ピルの使用については、産婦人科専門医や循環器担当医との相談が不可欠と考えます。
文責:川副 泰隆