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心室中隔欠損症の手術適応

ご質問

48歳 女性

先天性心室中隔欠損症で4年前のエコー検査では、10年位の内には手術をした方がよいと言われ心配になり、もう一つの病院で診察してもらったら経過観察で良いでしょうと言われそのままにしてしまい、今回検査をしたら肺体血流量比が、1.8と言われすぐに手術をした方がいいと言われました。また別の病院では、すぐにではなくても時期を診ての判断でいいでしょうと言われました。1.8という数値は手術をした方がよいのでしょうか。現在症状は特にありません。宜しくお願いします。



お答え

心室中隔欠損症とは限りませんが、心臓の手術をするかしないかは、手術をしないでおいた場合に、将来的に予想される、合併症、生命予後と、手術の負担、危険率などを比較して、決定します。しかし、生命予後に大きな影響があるなど、明らかに手術を行った方がよいと考えられる場合以外は、ご本人の考え方、人生観も大事な要素です。心室中隔欠損症は、欠損孔、右室経由で、左室から、肺動脈に血液が多く流れます。このため、肺動脈、左房、左室、等が、拡張したり、肺高血圧を起こしたたりする事があります。肺体血流量比は、肺動脈に流れる血液量と全身に流れる血液量の比です。大きい値であるほど、肺血流量が多く、その多くの場合は、欠損孔も大きいと考えられます。
心室中隔欠損症では、肺体血流量比が2.0以上の場合は、肺高血圧が進行したり、心不全を伴ったり、若い年齢の内に、息切れ、動悸などを認め、生活レベルが大きく低下しますので、手術が奨められます。肺体血流量比が1.5以下では、年をとっても、以上の様な症状を伴うことが少ないと考えられますので(殆ど一般と同様の生涯を送れることも多い)、心内膜炎の予防を行うことのみで、手術をしないことが、多いとされています。この中間の、肺体血流量比が1.5以上、2.0以下では(今回のご質問の様な1.8等の場合)、手術を行うかどうか医者の間でも、意見の分かれる所です。最近、肺体血流量比が1.5以上、2.0以下の人たちも加齢とともに、心臓の拡張がめだち、50歳を過ぎると心房細動という不整脈の合併頻度が、一般の人よりも高いという報告がされる様になりました。しかし、80歳くらいまで、経過を観察した報告は、殆ど無いので、60-70歳台で、生活レベルが大きく低下するかどうか明らかではありません。
欠損孔を閉じるメリットは、将来的に起こる可能性のある、不整脈の程度を軽くして、生活レベルを一般と同様に保つことが出来る、内膜炎の予防は必要なくなるなどです。このため、手術を奨める医師の方が、多いように思われます。デメリットは、成功率は非常に高いのですが手術の危険、入院による経済的、肉体的負担などがあります。また、心房中隔欠損と異なり、デバイスで閉じる方法は、日本では行われていません。このような情報と、身体所見、エコー所見などを参考に、最終的には、ご本人の考え方で、手術を行うかどうか決定されることになります。詳しいご本人のデータが無いのでわかりませんが、症状が無く、肺高血圧がない場合は、すぐに手術、ということには、ならない場合が多いと思われます。
文責:丹羽 公一郎