HOME > FAQ > 心室中隔欠損症のカテーテル治療

心室中隔欠損症のカテーテル治療

ご質問

44歳 女性

子供の時から膜型のVSDといわれ、穴が小さいので手術不要といわれ、その後出産なども経て特に生活上問題なく過ごして来ました。最近何年間胸痛が出現したため、受診し、エコー上は膜部に4MMの欠損部があり、肺高血圧がなく心室大きさや運動にも問題なく、軽度の僧房弁逆流が認められたのです。中国の医者にカテーテル治療を薦めめられたのです。カテーテル治療の適応、合併症とその確率、長期予後などについて教えていただけますか。感染性心内膜炎の予防が主な目的になると思いますが、人工的なもの入れるわけですから、かえってIEの危険性が増えるのではと思いますが、この点についてはなにか統計的な文献はあるでしょうか。リスクを考えた場合、このカテーテル治療を受けるべきでしょうか。教えてくださるようお願い申し上げます。



お答え

1)成人期の心室中隔欠損症の治療
心室中隔欠損症の手術適応を判断するには全身と肺への血流量の比(Qp/Qs)が1.5以上,肺高血圧の進行がある場合,もしくは感染性心内膜炎の既往、大動脈弁の変形を生じた場合などです.心室中隔欠損症で一般的には胸痛は起こりませんから,胸痛の原因が何にあるのかを評価する必要があると思います.心臓とは関係のない痛みなのかもしれません.その場合は経過観察していいと思います.44歳とまだお若いですが,喫煙歴,高血圧,高脂血症,肥満,糖尿病のある場合は,虚血性心疾患の可能性もあります.場合によっては冠動脈造影が必要でしょう.

2)心室中隔欠損症のカテーテル治療
欧米,中国では心室中隔欠損症に対するカテーテル治療が始まっています.比較的良好な初期治療成績が出ていますが,房室ブロックなど手術よりも高い頻度でおこる合併症も報告されています.治療によって欠損孔が完全に閉鎖されれば,閉鎖栓自体は心臓の内膜に覆われますので,閉鎖栓によって心内膜炎の危険性が増える可能性は少ないと思います.

3)カテーテル治療の判断
カテーテル治療が可能になって,これまでの治療基準では対象とならない軽い心室中隔欠損症も治療基準と考える流れが起こっているのは事実です.ただ個人的な意見を申し上げますと,今ご心配されている胸痛が本当に心室中隔欠損症によって起こっているものなのかを判断することが大切だと思います.その判断に時間をかけても遅すぎることはありません.治療が必要と判断された場合は,その後,カテーテル治療を選択するか手術を選択するか考えることになります.
文責:赤木 禎治