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心室中隔欠損症、肺動脈拡張の長期管理

ご質問

38歳 女性

生後四ヶ月の時に、肺炎を起こし検査の結果心室中隔欠損と診断されました。肺炎を起こした事で動脈が太くなってしまった為、バンディングの手術をし、四歳の時に穴を塞ぐ手術をしました。現在は、完全右脚ブロックと言われ、二年に一度はCTを撮ることを進められていますが、今後、どのような心配があるのでしょうか。



お答え

心室中隔欠損症は、欠損孔の大きさ、位置、合併奇形などによって、臨床経過や治療・管理方針が異なってきます。

大きな心室中隔欠損症のために肺高血圧症となり、4ヶ月の時に肺炎を発症し、これをきっかけとして心疾患が判明した。乳児期の開心術のリスクを避けるために、最初に肺動脈絞扼術(PA banding、肺動脈にバンドを巻いて、人為的に肺動脈狭窄を作成する手術)によって肺高血圧症を改善させ、4歳頃になってから修復手術を行った。修復手術の内容は、心室中隔欠損のパッチ閉鎖と、肺動脈形成(肺動脈のバンドを除去し、人為的に変形させた肺動脈の形をととのえる手術)だった。現在38歳であり、特に自覚症状は無く、治療も受けていない。心電図上、完全右脚ブロックの状態である。2年ごとにCT(心エコー?)の検査を受けるように指導されている。質問者の方の医療情報が限られているため、以上のような経過だったものと考え、その前提で今後の注意点に関して述べたいと思います。

想像になりますが、質問者の方の生活の質は悪くないようにお見受けします。
問題点となりうることとして、心室中隔欠損の遺残、肺高血圧の遺残、肺動脈の形態変化(手術前の肺動脈の拡張や、絞扼術・形成術の影響による変化)、心機能の低下、不整脈などが考えられます。これらの遺残症・続発症に対しては、胸部レントゲン、心電図、心エコー検査などで、ほとんどのことが評価可能です。このうち、肺動脈の形態変化については、CTやMRIなどの方が評価しやすい場合もあるかと思います。また、完全右脚ブロックは、右室への刺激伝導路である「右脚」の伝導障害が生じる(結果として、右室の収縮が左室より遅れる)ことですが、心室中隔欠損症の閉鎖手術や、心室に切開を加える手術の際には、しばしば認められることであり、他に大きな問題が無ければ治療は不要です。なお、心室中隔欠損の遺残がある場合は、心内膜炎の予防のために、外科的処置などの際には、抗生物質の使用が必要です。最後になりますが、現在は困っていなくても、時間経過と共に不整脈を伴ったり、治療が必要になってくることなどもありますので、きちんと定期検診を受けることをおすすめします。これらの合併症も、治療、予防が十分に可能ですので、定期受診は大切です。
文責:川副 泰隆