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心室中隔欠損症、大動脈弁閉鎖不全症とポートアクセス法

ご質問

32歳 男性

先天性心室中隔欠損症(軽度)と診断され、今日に至るまで自覚症状もなく普通の生活を続けてきました。2 年前ほどから会社の定期検診で不整脈が出ていると言われ、若干心臓が肥大していることも指摘されました。今年大学病院で超音波エコーおよび経食道エコーを受けた結果、大動脈弁の一部が心室の穴に血流により吸引されるような現象が起こっており、そのため弁が変形し血液が逆流している、このまま放置すると、変形がさらに進み人工弁をつける手術をしなければばらない可能性があるので、できるだけ早く手術をした方がいいと言われました。私としては、手術が無事終わったとしてもその後、後遺症等が出るのではと少し心配です。このまま手術をしなくてもいいのでは?と思うこともあります。また、手術法ですが、診断した病院で行う場合、胸部切開で行うのですが、慶応大学病院で行っているポートアクセス法のことを知りました。私の場合、ポートアクセス法は適用可能なんでしょうか?また、安全性はどうなんでしょうか?



お答え

ご質問にあるような心室中隔欠損症はアジア人に多く見られるものでいわゆる肺動脈弁下欠損型と言われるものです.この型の特徴は右心室側からみてちょうど真裏にある大動脈弁の支えが無いため、または流れ込んでくる血流のため大動脈弁の一部が右心室側に落ち込んでくることです.そのため欠損孔は見かけ上小さくなり心肥大や肺うっ血などの症状は軽くなります.しかし落ち込みがひどくなると大動脈弁の形が崩れ、大動脈弁閉鎖不全症が出てくる事があります.また落ち込んだ弁が薄く膨らんでくると青年期から壮年期にかけて突然破裂する事があり(バルサルバ洞動脈瘤破裂といいます)、死亡に至る事もあります.現在大動脈弁の逆流がそれほど強くなければ欠損孔の閉鎖だけで十分と考えられますし、バルサルバ洞破裂や大動脈弁の変形も防止できると考えます.主治医の説明を良くお聞きになって早めに手術を受けられる事をお勧めします.ポートアクセス法については以前、心房中隔欠損症のお問い合わせに対してお答えした事がありますが、心室中隔欠損症の手術は単純ではなく、しっかり大動脈弁の観察をし保護をする必要がありますので現状ではポートアクセス法の適応はないと考えます.
文責:松尾 浩三