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心室中隔欠損症(小欠損)の手術適応

ご質問

30歳 男性

生まれつき心室中隔欠損症と診断され、18歳までO病院、20歳までM病院、27歳までK病院にて心電図、レントゲン、心エコー検査を実施していました。その後、D病院にて2003年1月にカテーテル検査を実施。以後、経過観察中です。生まれたときの孔の大きさは4ミリで成人を迎えたときに2ミリと診断されました。孔の位置はカテーテル検査にて心房に近い場所にあいていると聞いています。現在使用の薬:なし
手術の時期を検討しつつ経過観察をする、心不全、肺高血圧症になるまで手術はしなくても良いと言われました。手術はしたほうがいいのでしょうか。ポートアクセス法という手術方法があると新聞で知りましたがその症例は心房中隔欠損症のことのみ書かれていました。心室中隔欠損症でも実施することができるのでしょうか。できるだけ痛みも少なく回復も早く仕事復帰できる手術方法をと考えています。どうしたらよろしいでしょうか。ポートアクセス法という手術方法を国内(できれば道内)で実施している病院を知りたいです。また医療費についても知りたいです。
カテーテル検査を実施してから、半年に一度くらいの割合で心臓がドクッとなり咳がでるのですがこれについては問題ないでしょうか。



お答え

ご質問にあるような大きさの心室中隔欠損症(以下VSDと表します)では欠損孔を通して逆流してくる血液は少なく肺高血圧症になったり日常生活に影響がでる可能性はすくないため現在の状態では手術の必要はないと考えられます。ただ虫歯などで血液中に細菌が混入する菌血症を起こした場合,欠損孔近くに生じる乱流のため通常よりも感染性心内膜炎を起こしやすいので継続的な観察は必要です。
一般的に成人のVSD手術の場合は正中切開といって胸骨を縦に全切開するかまたは胸骨下部の部分切開(傷を小さくするため)を行います。一方心房中隔欠損症に対するPort Access法を述べてみますと,人工心肺を使う事は同じですが,送血管を大腿動脈(足の付け根のところ),脱血管を大腿静脈または頚部の静脈に入れて体外循環を確立します。さらに反対側の足の付け根から風船付きカテーテルをいれて大動脈を遮断し,心臓を完全に止めます。このようにすると人工心肺装置の管が邪魔にならないので主として乳腺下や胸骨下端の小さな傷から欠損孔を閉じる事が出来ます。しかしあちこちから管を入れたり特殊な用具を必要とし,一般的な方法と比べて視野の悪い手術になります。主として心房中隔欠損症や僧帽弁疾患を対象に行われていますがVSDですとさらに手術視野が深くなるので,やや手術が難しいと考えられます。残念ながら調べた限りでは道内で実施している施設は見当たりません。費用については一般的な保険請求額は200万円前後ですが更生医療など公費の給付を受けられますので自己負担は10万円以下のことが多いようです。
「心臓がドクッとなり」とのご質問についてはお答えが難しいのですが,不整脈が原因である可能性はあります。しかし単発のものならそれほど心配することはないでしょう。診察のときに心電図をチェックしていると思いますので主治医に所見をお尋ねになってみてください。
文責:松尾 浩三