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高齢者の動脈管開存症について

ご質問

71歳 女性

動脈管開存症非手術のまま、71歳になる母のことで御相談します。
母は通常の結婚をし、三人の子を出産し、現在に至るまで、心臓に関する苦しみはなく過ごしてきたようです。現在も日常の家事をこなし、買い物をかねた散歩も変わりなく続けています。

40歳頃、気管支拡張症になり、8年前からはリューマチで、現在数種類の免疫抑制剤とステロイド1日8ミリグラムを服用しています。1年ほど前から咳が続き、肺、心臓の検査を受けました。心臓はカテーテル検査もしました。手術の可能性も考慮した動脈管開存症に関する精密な検査を受けたのは今回初めてです。その結果、肺はきたないものの、今すぐ何か治療が必要というものではないということでした。咳は気管支に問題があるのかもしれないとのことです。心臓カテーテル検査の結果、「シャント」という数値が、1,44で中程度の動脈管開存症ということでした。心臓そのもの働きもやや弱ってきているそうです。検査の結果によれば、手術の可能性もないわけではなく、母が手術を希望するのであれば、万全の体制で望むけれど、リスクがとても大きいので(若くないので、簡単にボタロー管をしばったり、コイルをつめたりできない。血を止めて行う大手術になる。)積極的には手術を勧められない、と言われました。

手術を受けるか、このままの日常を続けていくか決めなければなりません。母としては、手術を受けてもう少し長く生きたいという気持ちもあるようです。高齢で手術をされた方の例、非手術で寿命を全うされた方の例を教えていただきたく、送信いたしました。よろしくお願いいたします。



お答え

脈管開存は、それほど珍しい病気ではありません。その、自然経過も比較的良く知られています。大動脈と肺動脈が管でつながっているので、大動脈から、多くの血液が肺動脈に流れ込みます(これをシャントと言いす)。主に動脈管の太さで、経過が異なります。
まず、小さい場合、つまり、シャントが1.7以下くらいの場合は、手術、カテなどで治さなくとも一生症状が無いことが殆どです。中等度の場合(1.7ー2.0以上2.5以下)、いわゆる息切れなどの症状が加齢と伴に生じてきます。このため、40歳以降になり症状が診られることが少なくありません。この場合はなおすことが少なくありません。
大きな管の場合はこどもの内に症状があり、治すことが必要です。また、これとは別に、細菌性心内膜炎(心臓にばい菌がつくこと)の予防のために小さい管でも治すことも少なくありません。

さて、高齢者の場合で、管の大きさがある程度大きく手術が必要で、カテーテルで治せない場合は、手術になりますが、こどもの手術と比べると、危険率は高くなります。
一般的な考え方として、高齢者(70歳以上)で、全く動脈管による症状(多くは労作時の息切れ)がない場合は、寿命、本人の考え方、手術に伴う苦痛などと手術により将来的に症状が出現しなくなる利益と比較します。そして選択をすることになりますが、症状が無く、小さい管の場合は、そのままにしておくことが多いと思います。ただ、担当医とよく相談して決めることが必要です。
文責:丹羽 公一郎