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高齢者の先天性心疾患に関してのご質問

ご質問

心房中隔欠損症のカテーテル治療(まだ認可されていないとの事ですが)は成人でも受けられる可能性があるのでしょうか。



お答え

心房中隔欠損症は出生1500例に1例の割合で発生し,先天性心疾患の約10%を占める比較的頻度の高い先天性心臓病です.乳児期から小学生の頃に心臓の雑音で気づかれることや学校の心臓検診で発見される事があります.ほとんどの場合には子供の頃には無症状で,あっても運動時の軽い動悸や息切れ程度です.このため,子供の頃に治療を受けずに成人期まで達する人や大人になって初めて発見される場合も少なくありません.子供の頃には症状が比較的軽くても,大人になると欠損孔をとおしての血液の漏れが徐々に大きくなり,動悸などの症状や不整脈などの合併症を起こしやすくなってきます.

これまで心房中隔欠損症の治療は手術による治療が行なわれてきましたが,最近欧米ではカテーテルによる治療が行われるようになってきています.治療栓にはいくつかの種類がありますが,最も多く使用されているのはアンプラッツァー(Amplatzer)という閉鎖栓です.ヨーロッパを中心に数千例近く使用され良好な治療成績が報告されています.米国でも近く承認がおりる予定です.

この治療栓はニッケル・チタン合金からできた形状記憶合金のメッシュで構成された円形の閉鎖栓(右図)で,閉鎖栓の中央部はウエスト状となっていて,欠損孔の両端から挟み込むように留置されます. この閉鎖栓を用いた治療は,欠損孔の位置や大きさによって変わってきます.心房中隔の中心部に穴のあいている患者さんにはとてもよい適応となります.穴の大きさは30ミリくらいまで閉鎖可能です.逆に欠損孔が中隔の端にあるよう場合には,穴の大きさが小さくても困難になります.この治療法ができるかどうかは,専門的な検査を受ける必要がありますので,専門医にご相談ください.

治療は手術と同様に全身麻酔下に施行します.手術の時間は3時間前後です.手術後2日で退院できます.治療の後は血液の固まりができるのを防ぐ目的で,アスピリンを6カ月間服用します.国内でも既に治験が終了しています.国立小児病院と久留米大学で6歳から29歳の合計34名の患者さんが治療を受けられました.結果はとても良好で,大きな合併症もなく全例で治療が成功しています. カテーテルを用いた心房中隔欠損症の治療は始まったばかりで,今後もいろいろな面から長期的な効果を判断していく必要があります.ただ手術と比べ患者さん自身の負担か少ない治療法として期待されています.国内でも近い将来,認可がおりるものと思います.
文責:赤木 禎治<