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高齢者の心房中隔欠損症と部分肺静脈還流異常

ご質問

30歳 女性

60歳になる母が心房中隔欠損と肺静脈還流異常を併発している事が分かりました。
肺高血圧症にはなっていない為、手術させる予定ですが自覚症状がなく、たまたま受けた健康診断を機に検査を重ねた結果の発見だった事もあり、手術自体が年齢的にリスクが大きい場合、即手術すべきかどうか、迷いがあります。
ネット検索しても小児のケースがほとんどで小児の場合、手術の成功率も生存率も高いようですが高齢者の場合は、どうなんでしょう?合併症や後遺症など、60歳という年齢でも比較的成功率や生存率の高いものなのか、参考例を教えて頂きたいと思っています。合併症や後遺症など、心得ておくべき事がありましたらあわせて参考にさせて頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。



お答え

心房中隔欠損症の診断、治療を成人期まで持ち越している方の場合、一般に疲れやすいなどの自覚症状や不整脈を合併しやすくなる事のため40歳以前の治療が勧められます。しかしそれ以後の年齢での手術も少なくありませんし,60歳でも全身状態に問題がなく心機能が良く保たれている方の場合は手術のリスクはそれほど大きくないと考えて良いと思います。ただお母様の場合、肺静脈還流異常症を合併しているとのことですからこれは少し別に考えなくてはなりません。
(部分)肺静脈還流異常症は肺静脈の一部が左房に結合せず右房や大静脈のどこかに還流する奇形ですが心房中隔欠損症には比較的多く見られます。還流異常の場所はいくつかパターンがあり、手術方法やリスクが変わってきます。基本的な手術方法は異常な結合をしている肺静脈の血液を左房に導くように心房内に通路を作ることです。心房中隔欠損はその通り道として働く事になります。成人の場合、心房や大静脈に十分なスペースがありますので、よほど異常な場所に肺静脈が結合しているのでなければそれほど困難な手術ではありません。この通路を作る時に人工膜を使う事があり、この場合一定期間血栓予防の薬を内服することもありますし、術後の不整脈の原因になる事もあります。また高齢の方では左心室が小さくなっている場合があり,以上述べたような心内修復術を行った時、左心室の負担が増加し稀に急性左心不全を起こすことがあります。しかし術中や術後の治療、管理を慎重に進めれば危険な状態がずっと続くことはないでしょう。
お尋ねではお母様に肺高血圧がなく自覚症状がほとんどないとのことですので手術前の状態は良好と考えられますが、いずれにしても現在の状況や病気の特徴、どのようなリスクが考えられるのかをよく主治医に御聞きいただきたいと思います。
文責:松尾 浩三