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完全大血管転位症について

ご質問

33歳 女性

私は現在妊娠7ヶ月です。先日の検診で、先天性心疾患大血管転位の疑いがあると言われました。突然なことでかなり動揺しています。
出産は里帰りを考えています。この病気の具体的な内容、またその処置法、今後の対応法など教えて下さい。また、生存率などはどうなのでしょうか。全くわからない状況ですので、簡単な、わかり易い説明をお願いします。



お答え

これから生まれてくるお子さんに、先天性の心臓病の疑いがある、と診断されたということのようですね。さぞかしご心配なことと思います。
ご質問には限られた情報しか記載されていませんので、あくまでも一般的なお話として、ご説明をさせていただきます。

「大血管転位症」は、「完全」型と「修正」型に大きく分かれます。次に、心室中隔欠損症や肺動脈狭窄症の有無などによって、更に細かく分類されます。また、他の心疾患、例えば、三尖弁閉鎖症や単心室などに合併する場合もあります。一口に「大血管転位症」と言っても、様々な疾患が含まれることになります。ちなみに、より頻度の高い、「完全」大血管転位症では、右心室から大動脈が起始するため、酸素含有量の少ない血液が全身へ送り出され、左心室から肺動脈が起始するため、酸素含有量の多い血液が肺へ送り出されます。結果として、酸素含有量の少ない血液が全身を循環して、重度の低酸素血症となるため、なんらかの手術的対応をしないと、長期の生存は困難です。今日においては、他に大きな合併症の無い、「完全」大血管転位症では、適切な治療を行えば(新生児期または乳児期の手術が一般的ですが)、8割以上の手術生存率となっています。小児期早期の治療は、大変なことがありますが、予定通りに手術がすむと、その後は、普通の赤ちゃんとにたように育てることも可能です。もちろん比較的重症とされる心臓病がありますので、注意することは多いのですが、主治医の注意に従って育てて行けば、良いと思います。運動は、一般よりも劣りますが、それ以外は、他の子どもと、ほぼ同等の生活が出来ます。また、大人になっても、就職し、結婚したりすることも出来るようになりますので、がっかりすることなく、お産に望んでください。

さて、質問者の方の今後の対応について検討します。特別な基礎疾患のない妊婦さんの胎児超音波検査を行うのは、通常は産婦人科医です。産婦人科医が胎児の心疾患を疑った場合には、小児循環器専門医などに相談することになるはずです。胎児の心疾患は、一回の検査で全ては診断できないこともありますので、あるいは、まだ暫定診断の段階かもしれません。「大血管転位症」は病型によって対応が異なってきますが、新生児期や乳児期に集中治療が必要になる可能性があります。出生後のお子さんの状態を可能な限り予測し、小児循環器専門医や新生児専門医の立ち会いの下に計画的に分娩し、出生後にすぐに集中治療を開始することがあります(現実には、そのような医療施設は、ごく限られた数しかありません)。出産する病院なども、主治医の先生はすでに十分にお考えと思いますが、担当医やご家族と、分娩時期、分娩方法、分娩施設などをよく相談してください。
文責:川副 泰隆