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マスタード手術の遠隔成績について

ご質問

26歳 男性

生まれつきの完全大血管転移症で4歳の時「マスタード手術」を受けました。手当医の先生やその後サポートして下さってる先生のお蔭で今まで無事に生きては居るのですが「人並み」と言われる生活が出来ない事と、いつも背中に付きまとう「死」に脅えた生活をしています。大血管転移症の方の世界的な「平均寿命」や「最長寿」のデータ等有りましたら是非教えて頂きたいです。



お答え

完全大血管転移症の「マスタード手術」は、1964年に初めて報告され、その後広く行われていた手術です。「マスタード手術」は、1歳前後或いはそれより早く行われることが多いため、初期に手術を受けた患者さんも、まだ40歳以下であることが殆どです。日本では、まだ、まとまった術後長期の報告がありませんが、最近「マスタード手術」の28年、30年の経験が報告されました。それによりますと、20年の生存率は80%位とされています。心不全、突然死が主な原因ですが、これらに対しては、後で述べるように治療法、予防法が開発されてきておりますので、今後は生存率が改善すると考えられています。日常生活は、運動面などで一般のひとに比べ劣りますが、60~80%の人は運動面以外では一般の人と同等な生活を送っています。
問題となる点は、上室性の頻脈、除脈及びこれに関連した状態の急変です。これに対しては、薬物療法、ペースメーカー、カテーテルによる不整脈治療で、最近は良い結果が得られるようになってきています。
また「マスタード手術」では、本来左心室が受け持つはずの全身の循環を右心室が支えているため、右心室の機能低下を起こすことが危惧されますが、20歳~30歳代では、機能低下を起こしている人はわずかです。しかし、軽度の機能低下が今後加齢とともに進行するかどうかは不明です。この心不全に対しても、治療薬、予防薬が開発されてきています。一般的な「マスタード手術」後のことをのべましたが、患者さんによって程度が異なります。主治医の十分な経過観察を受けることにより、悪化を防ぐことが可能ですので、定期的な受診が大切です。
文責:丹羽 公一郎