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ポートアクセス法について

ご質問

45歳 女性

「心房中隔欠損症」(1.6cm×1.8cmの欠損孔)で1年以内に手術が必要と診断されました。なるべく傷口が小さくて済む「低侵襲手術」を希望しています。中でも、胸骨の切開が不要な「ポートアクセス法」を考えています。現在、慶応大学附属病院で実施されていることは存じております。
関西圏の総合病院で「ポートアクセス法」を実施している病院がありましたら、教えてください。
また、「ポートアクセス法」は胸骨を切開する手術法と同程度に安全かどうかについて教えてください。



お答え

ご質問にあるような大きさの中隔欠損ですと加齢に伴い不整脈をはじめいろいろな合併症が出てきますので,他覚的自覚的所見があればあまり長く放置しない方が良いと思われます.心房中隔欠損症の一般的な閉鎖方法は人工心肺を用い,心停止あるいは心室細動誘導下に欠損孔を閉鎖するものです.大きい欠損孔であればパッチを使って閉じます.ご質問のように成人の場合は正中切開といって胸骨を縦に全切開するかまたは胸骨下部の部分切開をする(傷を小さくするため)必要があります.通常輸血は必要なく,体外循環手術の多い施設なら安全面ではまず問題ないでしょう.入院期間は2~3週間前後が普通です.一方Port Access法では人工心肺を使う事は同じですが,送血管を大腿動脈(足の付け根のところ),脱血管を大腿静脈または頚部の静脈に入れて体外循環を確立します.さらに反対側の足の付け根から風船付きカテーテルをいれて大動脈を遮断し,心臓を完全に止めます.このようにすると人工心肺の管が邪魔にならないので主として乳腺下の小さな傷から欠損孔を閉じる事が出来ます.しかしあちこちから管を入れたり特殊な用具を必要とし,一般的な方法と比べてまだ時間がかかると考えられますし,また視野の悪い手術になりますのでこの方法に慣れた施設でのお話をよく聞いていただく必要があります.
Yomiuri On-line 医療と介護・最新医療 > ポートアクセス法 心臓手術 傷跡小さく[2003年6月10日の記事]に低侵襲手術を行っている施設が掲載されておりますので直接聞いてみてください。
傷が小さいので美容的見地や社会復帰が早くなるなどのメリットはありますが,この手術での一番の危険因子は人工心肺が必要なこと,と言えますので低侵襲かどうかはまだ議論のあるところです.また日本ではまだ承認されていませんが欠損孔の大きさや位置が適当であればカテーテルで特殊な塞栓子(アンブレラ)を運び,閉じる方法もあります.この回答がお役に立てば幸いですが,これから治療を受けようとする施設でよくご相談いただきたいと思います.
文責:松尾 浩三