HOME > FAQ > フォンタン術と不整脈・妊娠

フォンタン術と不整脈・妊娠

ご質問

18歳 女性

私は6歳で「右室性単心室」でフォンタンをしました。その前にブレロックとシャントをし計3回手術をしました。現在18歳になり、今まで何の症状もなくとても順調ですが、20年位で不整脈など問題が起きてきた時に、もう一度手術をしなければいけないと昨日主治医に聞きました。もう手術はないものと母も私も思っていました。必ずそのような症状が現れるのでしょうか?そのことについて詳しく教えていただけますか?またフォンタンをした患者はやはり、出産は難しいのでしょうか?



お答え

フォンタン手術は三尖弁閉鎖症や単心室の患者さんにおいて、最終的な目標とされた手術ですが、右心房に高い圧がかかるため術後10年を越えると右心房が拡大し不整脈が出現しやすくなります。術後20年ではおおむね80%程度の人で不整脈が出現するようです。そして、40歳を越えますと100%に出現するとされています。 頻拍が出現するとフォンタン術後の患者さんは全身状態が悪くなりやすいので頻拍は大きな問題です。このため1990年代の半ばからは、右心房に負担をかけない方法での手術(右心房内に導管をおく方法、或いは心臓の外に導管をおいて右心房をバイパスする方法など)を施行する施設も出てきました。そして既にファンタン術を施行されている患者さんでは、右心房の負担が増し不整脈が出現するようであればこういった手術法に転換することも行われるようになりました。実際に変換手術を行った患者さんはまだ多くはないのが現状です。
既にこれらのことは主治医の先生からお聞きになりご存じとは思います。

日本では、まだフォンタン術後の妊娠は非常に少ないのが現状です。しかし、米国で、フォンタン術後の妊娠、出産についての、まとまった報告が一つだけあります。それによりますと、フォンタン術後の妊娠はふつうの日常生活ができるのであれば可能です。ただ妊娠中は、普段と比べ、心臓に大きな負担がかかります。このため、不整脈、心不全を伴いやすくなります。また、妊娠中は、血液が固まりやすくなるため血栓ができやすくなります。さらに、このことに加えて、軽いチアノーゼが残っている人では、妊娠中は、チアノーゼが強くなります。これらの要素があるため、子どもは、流産する率が高く、また、妊娠週数に比較して、小さい子どもが生まれることが普通です。さらに、母親が薬剤を服用している場合は、薬剤の子どもに与える影響も考慮しないとなりません。そして、出産後、妊娠中に生じた心不全が続くことも少なくないので、生まれた子どもを育てていく上で、配偶者、おばあちゃんなどの十分な理解と協力が不可欠です。このようなこと、妊娠出産時期の心臓の機能(働き)の具合を考慮して、主治医と相談する事が必要です。そして、循環器、産婦人科、新生児、麻酔科を専門としたチーム医療を行える病院での経過観察、計画的な出産が不可欠です。また術後期間が経つにつれて右心房の負担が強く、不整脈も出現しやすくなりますので、前項での転換手術も念頭に置いて考えなくてはならない場合もあります。しかし、この場合は、術後ワーファリンという薬を飲まなければいけないことが多く、ワーファリンは胎児への影響が大きいので問題があります。妊娠する場合は、このような多くの点を、主治医と相談しなければなりません。
主治医の先生とよく相談しながら、ひとつひとつクリアしていくことが大切だと思います。
文責:立野滋 丹羽 公一郎