HOME > FAQ > 無脾症候群と肺高血圧症

無脾症候群と肺高血圧症

ご質問

31歳 女性

肺高血圧症の手術についてお伺いします。
無脾臓症候群のため心臓や、大動・静脈に変形があり、総肺靜脈還流異常、共通房室弁、心室・心房中隔欠損症、両側右側相同と、診断されています。チアノーゼがあり、肺血圧が、血圧(96-75)と同じです。心奇形は修復可能とのことでしたが、肺高血圧のため、無理だといわれています。
なにか方法は有るでしょうか?
また、肺高血圧症は直すことは出来ないのでしょうか?



お答え

 無脾症候群は、心臓の異常に一定の形があることが多いものです。ご質問から判断いたしますと、今まで姑息的な手術も含め、心臓手術を受けたことはない。という事でお答えしたいと思います。多分、肺動脈は全体的に細く、肺へ流れる血液量がバランス良く保たれているけれども、肺高血圧になっているのかと思います。
 まず、多くの場合、無脾症候群では、心室が一つしかない、あるいは、左右の心室の大きさのバランスが悪いため、修復手術として、フォンタン手術という術式をとることが一般的です。この手術には、いくつかの異なったタイプの術式が含まれますが、基本的に静脈血を、心室を経由せずに、肺動脈に直接流す様にする手術です。動脈の血圧と違って、静脈の血圧は低いので、肺高血圧があると、肺に血液を流すことが出来なくなります。このために、肺高血圧のある人では、フォンタン手術が出来ません。細かい血圧のデータなどをみていないので断言は出来ませんが、フォンタン手術以外の修復手術も、残念ながら、非常に難しいと思います。
 このような場合は、チアノーゼによる全身的な合併症の治療と、肺高血圧の治療をおこなう事になります。チアノーゼによる全身的な合併症の治療は、随分進歩したので、チアノーゼ型疾患の人の生活、予後は依然と比べ、かなり良くなりました。肺高血圧は、今まで、酸素療法、心不全療法、血管拡張薬などの治療法が行われています。現在、いくつか、効果があるとされる血管拡張薬が使われるようになってきています。また、これから使用が認可される薬剤もあります。以前は、肺高血圧だけで、心臓の中には異常の無い、特発性肺高血圧という疾患に使われていました。効果がある人も少なくないので、最近は、先天性心疾患に伴う肺高血圧にも使われるようになりました。アイゼンメンゲル症候群といわれる先天性心疾患で、高度の肺高血圧を伴っている人に使われ始めましたが、効果があるという報告もみられています。ただ、中期あるいは長期の効果に関しては、まだ報告がありません。今後は、無脾症候群等の疾患にも使われる可能性があります。このような新しい治療に関しては、主治医の先生に良く相談されると良いと思います。
文責:丹羽 公一郎