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肺動脈弁下心室中隔欠損と大動脈弁逸脱

ご質問

32歳 女性

先天性心室中隔欠損症を患っています。
先日、大学病院で心エコーの検査を受けたら、はっきり画面には見えないけど穴に弁が入っている可能性があると言われました。たぶん穴の大きさは1、2センチほどだと思います。今まで検査をしても穴は開いているけど変わりないと言われていたので、今回このように言われたことでショックを受けております。その時、今後のことを主治医に色々と質問すれば良かったのですが、呆然として何も聞けませんでした。主治医は、また1年後に検査に来てください、とのことでした。今のところ、いつもと違う症状は見られません。なんら変わりなくいつも通りの生活を送っております。が、今の段階で注意すべき点があれば教えていただけますでしょうか?(身長158センチ・体重91キロ・血圧130~140/80前後)言うまでもなく、減量が最優先ですね。宜しくお願い致します。



お答え

心室中隔欠損症で、今回の検査で、はっきり画面には見えないけど穴に弁が入っている可能性があると言われ、たぶん穴の大きさは1、2センチほどと診断されたとのことです。突然の今までと違う診断で、不安になられたことと思います。これらの話から総合すると、高位の心室中隔欠損症(肺動脈弁下心室中隔欠損ともいわれます)といわれる欠損症で、大動脈弁が欠損孔にはまりこんでいる状態の可能性がある、かと思われます。エコー検査ではっきりしないので、決定的なことはいえませんので、参考にしてください。主治医に良く確認することが必要です。ここでは、高位の心室中隔欠損症に伴う大動脈弁逸脱(欠損孔に弁の一部がはまりこんだ状態)について述べてみます。

左室は右室と比べ血圧が高いので、左室の血液の一部は、心室中隔欠損を通過し、右室、肺動脈へ、流れます。肺動脈、左房、左室に流れる血液量は、欠損孔の大きさに応じて増加します。小欠損では、全身に流れる血液の1.5倍以下、中等度欠損以上では、2~3倍の血液が流れます。肺動脈弁下欠損は大動脈弁直下に短絡血流が存在するため、隣接している大動脈弁右冠尖が次第に欠損孔に向かって引き込まれ、右冠尖に変形が生じて大動脈弁逆流を呈することがあります(大動脈弁右冠尖逸脱)。この場合、欠損孔が、弁尖でふさがれますので、短絡血流は少なくなります。大動脈弁閉鎖不全は、心室中隔欠損症の病態を修飾する事があります。大動脈弁変形は、長い間固定している場合もありますので、特に注意することは無く経過を見ている場合が少なくありません。しかし、大動脈弁閉鎖不全は進行します。大動脈弁閉鎖不全が合併している場合は、弁の変形も大きいと考えられ、外科手術が望ましいと考えられます。定期的に観察をしながら、もしも、大動脈弁閉鎖不全がおこる、或いは、弁の変形が大きい場合には手術が望ましいと考えられています。弁の変形、大動脈弁閉鎖不全が中等度以上に進行していなければ手術成績、術後経過は非常に良好です。定期的に診察を受けていれば、進行の具合を的確に捉えられますので、通院は大切です。
文責:丹羽 公一郎