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妊娠中のアスピリン、メチルドパの内服について

ご質問

40歳 女性

昨年5月の「成人心疾患女性の妊娠と出産」という丹羽先生の講演会に参加した虚血性心疾患者です。現在妊娠3ヶ月です。「小児用バファリン」と「アルドメット錠」を服用しているのですが、胎児に悪影響はありませんか?。来月にもT病院へ転院しようと思っています。



お答え

虚血性心疾患ですと、「小児用バファリン」と降圧剤「アルドメット錠」などを継続的に服用することが少なくありません。妊娠中の薬剤使用の影響(母体、胎児)、授乳時の影響などを考慮する必要があります。妊娠中は、妊娠早期(6週から9-13週)には、催奇形性、それ以降は、流産死産などの可能性を考えます。
さて、アスピリン(バファリンですが)については、低容量の場合(60-150mg)とそれ以外の大量の場合に分けられます。小児用バファリンは低容量アスピリンです。大量の場合は、出血傾向、死産、催奇形性の可能性など多くのリスクがあります。ここでは、低容量アスピリンについて述べます。妊娠早期の使用報告はいくつも見られています。最近のいくつかの報告では、アスピリンと先天性心疾患等の奇形の発生には有意な関係は無いとされています。また、妊娠後期使用も多くの報告があり、(妊娠時高血圧などに使われます)胎児に及ぼす影響は殆ど認められないとされています。ただ、分娩を遷延させる傾向があり、帝王切開、鉗子分娩などの率が少し上がります。授乳中にも少量移行しますが、今までに赤ちゃんに対する悪影響(出血傾向など)の報告は無いようです。しかし、注意深い観察が推奨されています。日本では、欧米と異なり、このような大規模報告は見られておりません。厚生労働省からの薬剤の適応には、アスピリンの使用は妊娠28週以降は控える様に、とされています。アスピリンは、使用量により胎児への影響が全く異なるにもかかわらず、この適応には、アスピリンの量に関する言及(大量使用か、低容量使用か)は全くありません。
一方、虚血性心疾患の患者さんが、妊娠中に虚血発作を起こすことは、非常に重大な問題です。従って、薬剤の効果と危険との兼ね合いで、使用を決めるべきなので、今回の日本循環器学会、妊娠出産のガイドラインでは、低容量アスピリンは、患者さんと受け持ち医の十分な話し合いの上で、使用継続を決定することを推奨しています。
次に、アルドメッドですが、大規模な調査が行われておりませんが、妊娠中の高血圧に対して、よく使われる薬剤です。多数例での報告では、妊娠早期、240人以上に使用され、4.5%に先天性奇形を認めていますが、薬剤との直接の関連は無いとされています。また、1100人以上の高血圧の使用経験でも、胎児への影響は無いとされています。また、母乳からの移行により赤ちゃんの血圧が軽度低下しますが、臨床的な影響はありません。従って、両者ともに妊娠中は、比較的安全な薬剤とされています。
文責:丹羽 公一郎