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妊娠に関してのご質問

ご質問

先天性心疾患の女性の妊娠、出産のことを教えてください。

軽症で通院がない場合は、情報を得る機会もないでしょうし、 私のように通院していても、漠然とした先のことですし、 主治医が男性なので話しにくいということがあります。 また自分の人生として考える時の判断材料がほしいと思います。

1)妊娠、出産が身体に与える影響、 2)どういう病状だとドクターストップとなるか、 3)産む選択をした場合にどんな注意が必要か、 避妊に関し、ピルに禁忌や薬の飲み合わせなどの注意点はあるか、 他の方法では、注意すべきことはあるか 特に知りたいのはこのようなことです。

ご回答よろしくお願いいたします。



お答え

基本的に妊娠、出産、遺伝という点は、先天性心疾患を持つ女性にとってとても大きい問題です。現在これらに関しては、かなり分かってきているので、主治 医が男性であっても、ある程度の年齢になったら尋ねるべきだと思います。将来 的な生活設計にもかかわってくることも少なくありません。

1)妊娠、出産が身体に与える影響

妊娠中は、心臓の血液拍出量が増加します(平常時の1.3ー1.5倍)、脈拍の上昇、血圧は大きく変化しません。この心臓の血液拍出量が増加ということ、つま り、心臓によけいな負担がかかることが大きな問題になります。出産時は、出血 (帝王切開ですと、正常の1.5倍程度出血します。)、子宮収縮による血液量の 変動、全身の血管抵抗の急激な変動が起こります。これらの急激な変化に対応で きる心臓かどうかが大きな問題です。また、経過を通じて、血管抵抗が下がり、 チアノーゼのある患者さんは、チアノーゼが増強します。

2)どういう病状だとドクターストップとなるか

高度の心不全、高度の肺高血圧、中等度から高度の大動脈狭窄、高度の大動脈 拡張を伴った疾患(マルファン症候群が代表的)この4つの疾患が、禁忌或いは 中絶を勧めます。これらを治療したあとは妊娠出産可能となります。従って、多 くの疾患は出産可能です。チアノーゼ型疾患では、こどもの多くは、低出生体重 児となりますし、流産も多くなります。

3) 産む選択をした場合にどんな注意が必要か

疾患によりますが、主治医に相談し妊娠経渦中に心機能check(主にエコーで、 胎児も同時にみます。)心電図検査などを行い、また、産科と相談しながら進め てください。

4)避妊に関し、ピルに禁忌や薬の飲み合わせなどの注意点はあるか

他の方法では、注意すべきことはあるか >特に、禁忌や薬の飲み合わせなどの注意はありません。ただ、多くの種類のピ ルが使われている国では、ピルの種類によって、血栓の傾向がつよい、出血しや すいなどの特徴はあります。日本で行われている方法では、他に大きな問題はあ りませんが、避妊成功率の善し悪しの問題があります。また、禁忌の疾患では、 避妊手術を行うこともあります。

また、産科の医師によりますが、産科的な適応 以外で、先天性心疾患という理由だけで、帝王切開を行う必要はありません。 疾患により、出産時の心内膜炎予防が必要です。

患者さんの疾患、病態に応じ出産する病院(開業の産科の先生、大きな病院、さらに、循環器科、循環器小児科、新生児科などを併設した病院)も選択しなけれ ばいけないので、少なくとも、妊娠が分かったら、主治医に良く相談する事が必 要ですし、妊娠の危険性などは以前から、相談をしておく必要があります。
文責:丹羽 公一郎