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大動脈弁狭窄症の妊娠について

ご質問

26歳 女性

私は先天性の大動脈弁狭窄症で結婚を機に手術をすすめられてきましたが、12歳のときにうけたカテーテルの治療の記憶がつらく、今まで延ばしてきました。手術をせずに妊娠出産がしたいです。入院して安静にして帝王切開でも無理なんでしょうか?



お答え

先天性心疾患の患者さんの妊娠は、多くの場合、可能ですが、注意すべき疾患或いは母体、胎児ともに危険を伴う場合がいくつかあります。肺高血圧、中等度以上の心不全、大動脈瘤、チアノーゼ、左室流出路狭窄などです。大動脈弁狭窄症は、左室流出路狭窄に当たります。妊娠中は、胎児を養うため、普段よりも多くの血液を心臓から全身に駆出します(1.3倍くらい血液拍出量が増えます)。このため、大動脈弁狭窄症は、妊娠中、相対的に狭窄の程度が強くなります。又、出産時には、出血、陣痛などにより血圧が変動します。従って、母体、胎児に与える影響が強くなります。折角妊娠しても、心不全、流産が多くなります。ただ、大動脈弁狭窄症の方が、手術をせずに、妊娠、出産を進めていけるかどうかは、大動脈弁狭窄症の程度によります。軽度 - 中等度の場合は、定期観察をしながら、妊娠出産は可能です。しかし、中等度から高度の場合は、治してから、出産に望む方が安全です。妊娠時に状態が悪くなり、緊急で、手術、カテーテルによる治療(バルーン形成術)を行う場合もあります。(これは妊娠していない時に比べ、危険度は高くなります)。妊娠する前に、手術を行う場合も、人工弁、生体弁、ロス手術などいくつもの方法があります。また、手術、カテーテル治療も10年前と比べて、随分、良くなっています。いずれにせよ、現在の状態、程度を受け持ちの先生によく相談され、妊娠、出産に望むことが大切です。
文責:丹羽 公一郎