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大動脈弓離断症について

ご質問

19歳 女性

私は、大動脈弓離断症、心室中隔欠損で3回の手術をしました。現在は人工血管に置き換え、日常生活に問題はありませんが、激しい運動は禁じられています。大動脈弓離断症についての情報が少なく、自分の病気について知りたいです。同じような病気の人がどれくらいいるのか、また、今後どうなっていくのか(妊娠・出産・寿命など)。少しでも情報があれば教えて頂けたらと思います。



お答え

大動脈弓離断症、は比較的珍しい病気で、日本での大規模な統計はありませんが、米国では、百万人の赤ちゃんの内19人に認めるとされています。日本の、現在の年間出生数は、約百万人です。大動脈弓離断症は、大動脈弓が離断していた場所によって、症状経過などが異なりますが、長期的な問題は、共通なことが少なくありません。また、大動脈縮窄症の経過ともよく似ています。問題となる点は、高血圧、運動時高血圧、大動脈拡張、解離、大動脈狭窄閉鎖不全(大動脈二尖弁(大動脈弓離断に伴いやすい)─大動脈の逆流を防ぐ弁が3枚でなく2枚の場合─による)、感染性心内膜炎、僧房弁閉鎖不全、大動脈弁下狭窄(大動脈の弁の下が狭くなること)等が主な問題です。また、人工血管の再狭窄も問題となります。年齢とともに、これらが問題となる場合がありますので、血圧を含む定期的な専門医のチェック(下肢血圧のチェックもします)が必要です。高血圧に対する薬剤、大動脈拡張を予防する薬剤を使用する場合もあります。定期的な観察を受けていれば、この様な問題点を事前に予知し、予防、治療を行うことが出来ます。妊娠出産は、大動脈弓離断での報告はまだ非常に少ないのが現状です(発生率がひくいことと、15年くらい前までは、手術死亡率も高かったためです)。従って、寿命は、明らかになっていません。しかし、定期観察により、種々の問題点を早期発見することにより、長期生存が可能になってきています)。しかし、似たような病気の大動脈縮窄症の妊娠出産の報告は少なくありません。この場合は、高血圧、大動脈拡張等が注意事項ですが、これらが軽度であり、大動脈(弁下)狭窄も軽度で、修復した人工血管の狭窄も軽度である場合は、妊娠出産は、大きな問題はなく経過します。これらが高度である場合は、治療後(手術治療も含む)に妊娠することが奨められます。また、生まれてくる子どもに対する遺伝(特に大動脈二尖弁の場合)率は一般より少し高くなります。いずれにせよ、産科、循環器科、麻酔科などの共同での管理が大切です。
文責:丹羽 公一郎