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川崎病が強く疑われる成人期発症の冠動脈疾患

ご質問

宜しくお願いします。初めて川崎病の名前を耳にしたのは30歳の時でした。かかり付けの病院に動悸がするので診てもらったところ、心房細動ともう一つ異常な波形があるので、至急、大きな病院に行くように指示され診て頂いたところ、狭心症との事でした。その時診ていただいた先生に、貴方は川崎病でしたか?と聞かれましたが、生後間もなく死にかけた事があるとしか分かりませんでした。後に母親から聞きましたがやはり川崎病だとは言っていませんでした。その後34歳の時、冠動脈の分岐点の狭窄が限界との事でバイパス手術を受けました。今は39歳になります。今年の検査で血圧が高く(これは中学の時から)左心房の肥大と心肥大が侵攻しているそうです。これからいったいどうなるのか知りたい、先生方はこれからどうなるかを言ってくれません。教えてください。お願いします。



お答え

川崎病は1967年に川崎富作先生が新しい病気として初めて報告したのが始まりです.当時は病気の概念や治療法がはっきりとしていなかったため,「川崎病」に罹っていても「川崎病」と診断を受けていない人は決して少なくありません.当時の治療では川崎病にかかった人の4人に1人(現在では10人に1人以下)は冠動脈のこぶ(冠動脈瘤)を代表とする心臓合併症を起こしていました.冠動脈瘤は長い時間経過で自然に改善する場合と,しだいに狭窄(血管の大きさが急に狭くなること)へ進行する場合があります.この冠動脈狭窄は中高年になって起ってくる高脂血症や高血圧が原因で起こる病気(狭心症)と同じですが,川崎病の場合は(1)比較的若い年齢で狭窄に進行する,(2)高脂血症,高血圧,糖尿病,喫煙などの危険因子が少ない,(3)狭窄の部位に一致した冠動脈瘤の跡(石灰化)が見られる,(4)子供のころに「敗血症」「重症肺炎」「不明熱」など長期間にわたる発熱の既往や,場合によっては手や足の皮がむけるといった川崎病に特徴的な症状が確認される,などの症状から区別することができます.狭窄が進行している場合はバイパス手術やカテーテル治療が必要です.

ご相談の血圧が高いことと心臓の肥大ですが,これは川崎病の合併症と直接関連するかどうかわかりません.希ではありますが川崎病のため腎臓に行く動脈に動脈瘤ができ,それが狭窄へ進行して高血圧の原因となることがあります.もしくは川崎病に伴う弁膜症(僧帽弁閉鎖不全)を合併しているのかもしれません.心臓のバイパス手術前後に詳しい検査は受けられていると思いますので,川崎病との関係も調べられたかもしれません.血圧と心肥大はお互いに関連しあっているものですから,薬をきちんと使って血圧をコントロールし,心肥大が進行しないようにすることが大切だと思います.
文責:赤木 禎治