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成人に達した川崎病について

ご質問

はじめてお便りします。
私の娘は生後11ヶ月で川崎病を発症、急性期右冠動脈瘤約6ミリ一箇所と、左巨大冠動脈瘤約8ミリ(左冠動脈分岐部ウェッブタイプ)一箇所を形成しました。現在25歳になっております。残念ながら、今も左冠動脈瘤を残し(現時点まで幸い狭窄性病変は出現せず)、小児循環器医にフォローアップをお願いし、アスピリンを継続服用いたしております。一時期(15歳以降思春期に小児科に抵抗を示し)は循環器内科医にもかかりましたが、当時の内科医は川崎病冠動脈後遺症に対する認識が乏しく、結局、川崎病をよく診ておられる小児循環器医に戻りました。
以前より私の娘のような、乳幼児期の疾患により、成人に達した患者の医療(成育医療)には関心を持っておりました。このホームページをみつけ、川崎病心血管後遺症患者(おもに冠動脈障害、弁障害、心筋障害など)は、これだと思いました。ただ「成人先天性心疾患とは」の中に川崎病のことは触れられておりますが、その内容はほとんど先天性心疾患についてであり、残念ながら、川崎病心血管後遺症患者については、現在のところほとんど触れられていません。川崎病冠動脈後遺症は先天性心疾患と病態も異なります。
先天性心疾患の患者さんが圧倒的に多いこともその原因かも知れませんが、少なくとも川崎病心血管後遺症患者も、累積患者約20万人を考えれば、その約1割近く(現在はもう少し後遺症残存率は低いようですが)後遺症を残存しています。その中でも重症な方については、さまざまな問題が起こります。
重症川崎病心血管後遺症をもつ成人に対しても、先天性心疾患の患者さん同様の問題が生じてきております。とくに我が娘などの場合は妊娠、出産も気がかりです(虚血がなければ大丈夫といわれていますが)。川崎病研究会でも冠動脈バイパス手術を受けられた患者さんの出産例など、少しずつ、成人川崎病患者についての報告が見受けられるようになってきました。今後こちらの研究会においても、川崎病心血管後遺症、成人例についてもご検討いただけるのか、お伺いしたいと思い、書き込ませていただきました。よろしくお願いします。



お答え

川崎病にかかり冠動脈後遺症を残してしまっている患者さん(後遺症が無くとも、冠動脈硬化を生じやすいと言われていますが)は、ご指摘の通り、少なくありません。この人たちが、成人期に入り、どのように変化し、どのように予防、対応していくことが出来るか、という問題は、成人先天性心疾患と共通しています。先天性心疾患と異なり、冠動脈については、循環器科の先生が、なれていることがあげられていますが、川崎病自体を見たことがなく、冠動脈異常の特徴を把握できていない先生が少なくありません。また、興味を持って見てくれる先生も少ない、というのが現状です。多くの場合は、循環器小児科と共同で、経過を見ていくことが、大切と思われます。この点も、成人先天性心疾患と共通しています。成人先天性心疾患という言葉は、川崎病を含まないように響きますが、実際は、慢性疾患で経過観察の必要な小児心臓病が成人した場合のことを意味しております。ですから、先天性心疾患以外も含んでいます(ただ成人と共通した病気の場合は、循環器科に移行していくことが少なくありません)。成人先天性心疾患外来を開いているところは、どこでも、成人期の川崎病を診ております。今後、発行予定の成人先天性心疾患の教科書、欧米の教科書も、成人期川崎病について多くの記載をしています。ただ、先天性心疾患の種類が多く、解決すべき問題点もそれぞれ多いため、これらの疾患と平行して、進めていくことになると思います。今年(2005年)発刊される、日本循環器学会の心疾患婦人の妊娠出産ガイドラインでも、川崎病を広く取り扱っています。ただ、女性が比較的少なく、合併症の発生率も低く、比較的新しい病気でもあることから、実際のデータに乏しいため、他の疾患の考え方を応用して対応していることが現在の状況です。いずれにせよ、本ホームページでは、成人期川崎病の新しいデータ等について情報提供をする予定ですし、成人期の川崎病の方からのご質問も受け付けております。
文責:丹羽 公一郎