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心房中隔欠損症の妊娠について

ご質問

32歳 女性

今妊娠30週です。一月に入っていつもより長い不整脈を感じ念のため検査し、初めて心房中隔欠損症と診断されました。(28週のころ) 食道側からのエコーで 一次孔欠損と言われました。 どういうものですか?
妊娠のためとこの時期に聞いて精神的なショックがあり動悸 息切れや脈がとびやすく感じます。今は頓服で安定剤を服用しています。
この前の診察では レントゲンで肺の血流が多いと言われました。この頃息苦しく呼吸しにくい閉塞感があったのですが 肺・心臓と関係あるのでしょうか? 小さい頃から呼吸器系が弱く喘息の気があると言われ、いつも風邪をこじらせ、 夜間脈がとんだり息が苦しいときは起きて寝ていたりしたのですが それも心臓の方と関係あったのでしょうか? 自分では 呼吸器系なのか心臓の方なのかがわからなくて 今まで病院へかからずにきてしまいました。
今後 出産を控えて心配です(心臓もですが、息苦しい時 呼吸法ができるかも心配です)。分娩は普通分娩でよいでしょうか? どんなことに気をつけたらよいですか?
それから産んだ後はこの先どうしたらよいのでしょうか?



お答え

欠損孔の大きさ、肺高血圧の有無、不整脈の種類等が分かりませんので、正確にはお答えすることはできませんが、ご質問の内容から、中等度の欠損孔で妊娠を契機に症状が悪化し、また心房性期外収縮が合併している様ですので、そのつもりでお答えさせていただきます。

一次孔欠損は心房中隔欠損症の一つの分類で、発生学的な呼び名です。臨床的には房室弁(三尖弁と僧帽弁)よりに位置して、僧房弁の逆流を伴うことが少なくありません。
心房中隔欠損症は左心房から右心房へ血液が流れ込むため、右心房、左心房、肺での血流が正常より増加します。穴が大きいほどその血液は増加しますし、妊娠で全身の血液量が増加するとさらに多くなります。肺の血液が増加することにより、肺炎を起こしやすくなったり喘息のように呼吸困難が出現します。僧房弁の逆流を伴うと、症状が強くなります。しかし、穴が小さい場合はそれ程問題になりませんし、心臓による症状もわずかです。穴の程度が分からないので、呼吸困難が心臓から来ているか、喘息を合併しているために出ているのかはお答えしかねます。主治医の先生の意見を聞いてみてください。
不整脈は心房中隔欠損症の成人ではよく見られます。長期間にわたり右心房が拡大していることが原因とされ、心房性期外収縮や心房細動が多く見られます。心房細動になると動悸の他、心拍数が増加するため労作時の息切れや心不全を起こしてくる場合があります。心房性期外収縮の場合は、症状を感じる人もいますが多くは症状を感じることなく心不全も起こすことは稀です。不整脈に対する治療は受けていない様子ですので、おそらくは心房性期外収縮のみで、心臓病の話を聞いたことから少し心配になり、心房性期外収縮の症状(脈がとぶ)を強く感じているため安定剤が処方されたのだと思います。あまり動悸と息切れが強いようですと、発作的に心房細動を繰り返している可能性もあります。その場合は心電図、ホルター心電図で診断し、必要なら不整脈の薬で予防することもあります。ただ妊娠中ですので使用できる薬は限られます。主治医に症状について詳しくお話をされてみてください。
妊娠出産に関しては軽い心不全のある方でも可能ですから、通常の日常生活が送れているのであれば主治医の指示に従っていれば、大きな問題はありません。また帝王切開よりも普通に経腟分娩が推奨されています。ただ出産の前後で症状が悪化する場合がありますので、心臓病の専門家のいる総合病院での出産をお勧めします。
今後の事に関して、問題は手術あるいはカテーテル治療をするかしないかという事だと思いますが、急ぐことではありませんし、育児等の生活もありますから、出産後に主治医とよく相談されたほうが良いかと思います。
心房中隔欠損症に関しましては数多くご質問が寄せられていますので、そちらの回答も参考にしてみてください。
文責:立野 滋