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心房中隔欠損症の自然歴

ご質問

40歳 女性

「先天性心房中隔欠損症」
血液検査、心エコー、胸部レントゲンの検査をしました。以上の検査から、欠損孔は14.2ミリ、右心房と右心室に少し肥大があり、BNPは30.7と説明されました。それ以外には問題となる所見はないそうです。医師の話では、中くらいの大きさの孔で、今後は1年に1回の経過観察が必要、と言われました。

循環器内科でたまたま偶然発見されたのですが、今までなんの自覚症状もなく、たいへんびっくりしています。子どもも3人、自然分娩で普通に産みましたが、今まで特に困ることはありませんでした。自分は心臓が人より強いと思っていたくらいです(子どものころから運動神経は鈍いのに、なぜか踏み台昇降だけは最高の成績だったので・・)。
先生からは「1年に1回の検査で経過観察」と言われましたが、家に帰って自分でよく調べてみると、今くらいの年齢から症状が出始め、肺高血圧症や不整脈や心不全などが起こりやすくなると知りました。また、孔をふさがず放置している場合に平均寿命は40歳前後と複数のサイトで書いてあり、ショックを受けています。
症状がでないうちに手術で孔を閉じる方がリスクが少なくて良いのか、それともこのまま年単位で様子見でいいのか、今ひとつわかりません。自分では、将来リスクが大きくなるのなら、1年内くらいに手術を受けるのもひとつの選択だと思いますが、今の私の程度では手術を受けるほどでもないのでしょうか。まだまだ子どもも小さいし、長生きして孫の顔も見たいのです!ご回答をよろしくお願いいたします。



お答え

まず一般的な(手術をした方が良いと考えられる程度の欠損孔)のことについて書いてみます。
心房中隔欠損の多くは思春期まで無症状です。加齢とともに高血圧、左室心筋変性、僧帽弁閉鎖不全(僧帽弁逸脱)が加わると、左室拡張末期圧が上昇し左右短絡が増大します。運動能低下が認められ、動悸、息切れ、易疲労感などが現れ、上室性不整脈(特に心房細動で)の合併が多くなります。40歳以降に 症状が出現する場合もあります。非手術では、40-50歳に到達できる割合は50%程度でとされますが、80-90歳で生存する場合もあります。妊娠出産は、一般と同様のことが多いものです。手術の適応は、概ね欠損孔の大きさが、1.5cm以上のことが多いと考えられます。25歳以降の手術は、将来的に心不全、心房細動を伴うことがありますが、明らかな症状の改善を認めます。今回のご質問の方のように、今の所、明らかな症状を認めないで、欠損孔も大きくない場合は、将来的に悪化しない場合もありますし、軽度の症状のみで、一生を送れる場合も少なくありません。この程度の大きさの欠損孔の場合は、手術をするかしないかについて明らかな基準がありません。いずれにせよ、経過観察は、必要です。経過観察をしながら、もし症状を認めるならば、その時点で、手術をすると考える方もいらっしゃいますし、将来的な人生設計を考えて、手術しておくと考える方もいます。
最近、心臓カテーテルを用いた経皮的デバイス欠損孔閉鎖術が行われるようになりました。入院期間が短く、手術創がなく、侵襲も少ない点で、有用な方法ですが、異物留置、長期遠隔期成績が不明、欠損孔辺縁部がわずかな場合、施行できないなどの問題があります。この方法については、Q & Aにいくつかのお答えがありますので参照ください。
文責:丹羽 公一郎