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心房中隔欠損症の治療適応

ご質問

27歳 女性

私の病気は心房中隔欠損症です。
同時に不整脈(WPW症候群)をもっていましたが、去年の7月にカテーテル治療を行いました。
現在、心房中隔欠損症の手術をするかしないか迷っています。いま2つの病院にかかっているのですが、双方の言い分がまるきりちがうためどうしたらいいのかわかりません。
穴の大きさは8ミリなのですが、疲れやすかったり、便秘になると多少胸が苦しくなったり、同じ体勢でいるとつらかったりといった軽い症状のみです。
1人の先生は穴の大きさは2.5cmまでなら手術をしなくても大丈夫と言っています。子供を産んでる人やスキューバーダイビングをしてる人、マラソンをしてる人などたくさんいるから、症状が軽いいま現在、手術をする必要はないのでは??とおっしゃっています。
しかし、もうひとつの病院の先生は合併症やほかの病気にかかって万が一のことがあるかもしれないので1年以内に手術をすることを薦めますとのことなのです。
私が一番気になるのはやはり出産のことです・・いったいどちらの意見を受け止めればよいのでしょうか?



お答え

心房中隔欠損に関するご質問は、これまでに既にたくさんありましたので、他のQ&Aもご参考にして下さい。
一般的に、心房中隔欠損症では、比較的大きなサイズの欠損孔であっても、症状が出るのは中年期以降のことが多いとされています。ですから、手術に関する緊急性は無いことが多く、治療方針の決定には時間的な余裕があります。また、一定の条件つきですが、カテーテルによる欠損孔閉鎖という選択肢もあります。しかし、一方では、手術が必要な場合は比較的若いうちに(成人前や、遅くとも40歳前に)行った方が、合併症が少ないことがわかっていますので、患者さんの病状を考慮して、治療方針を決定しています。
特別な合併症の無い、通常の体格の27歳の成人女性が、8mmの(比較的小さい)心房中隔欠損症を持っている場合の、平均的な病状としてお話しします。
疲れやすい、便秘になると胸が苦しくなる、同じ体勢でいるとつらくなるというのは、心臓とは関係ない症状である可能性が高いと思います。また、現時点での妊娠・出産も、支障がない可能性が高いと思います。ただし、WPW症候群は、カテーテル治療後であっても、わずかながら再発があり、妊娠中に頻拍発作を起こすことがありますので、妊娠中も慎重な観察が必要です。
一方、病気の症状には個人差があります。質問者の方の症状が、心房中隔欠損症の合併症(僧帽弁などの弁逆流、不整脈、肺高血圧など)の場合や、その他の合併する心疾患の症状の場合も考えられますし、心疾患以外の基礎疾患が存在する場合もあります。これらの場合は、妊娠や出産の負担が病状を悪化させますので、妊娠前に精密検査や手術が必要になるかもしれません。
日本では、先天性心疾患の成人患者さんの外来診療は、小児の循環器疾患の専門医が中心となって行っていることが多く、それに一部の(成人の)循環器内科医が加わっています。もし、現在の担当医が小児または成人の先天性心疾患を専門としていないのなら、専門医の受診をおすすめします。担当医に直接質問して、紹介してもらうのも一つの方法と思います。
文責:川副 泰隆