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ファロー四徴症と肺高血圧

ご質問

28歳 女性

はじめまして。
私は先天性ファロー四徴症・肺動脈狭窄症があり、これまでに3回の手術を行ってきました。しかし、肺高血圧症も伴っていたため根治手術にはいたりませんでした。
結婚3年。子供を望み一昨年妊娠したものの心臓への負担が大きいとの事で断念。現在は「トラクリア」「ラシックス」「バイアスピリン」「タンボコール」「ザイロリック」という薬での治療を行っています。肺高血圧の状態は腕で測定する血圧とあまり変わらない数値だそうです。
今後、妊娠・出産は期待できるのでしょうか。また、どのくらいまで生きられるのか不安です。
どうかお返事お願いいたします。



お答え

妊娠出産が難しいということで、随分お悩みのことと推察いたします。
ファロー四徴症は、本来は肺高血圧を認めない疾患ですが、そのタイプによっては、高度の肺高血圧症をともなう事があります。また、根治手術を行っていない場合は、チアノーゼ(血中の酸素濃度が低いこと)が残っていると思われます。さて、先天性心疾患の方は、妊娠出産をされてお子さんをもたれている方も少なくありませんが、一方、妊娠出産の危険率が高く、お子さんがいらっしゃらない方も、少なからず認めています。
病気の詳細、(右肺左肺ともに肺高血圧なのか?、チアノーゼの程度、心臓機能など)が、わかりませんので、一般論としてお話いたします。
まず肺高血圧ですが、腕の血圧と同等という事は、高度の肺高血圧と考えられます。出産時には陣痛、出血等で、心臓には大きな負担がかかりますが、心臓病でない方は、この負担に十分に耐えることが出来ます。
しかし、高度の肺高血圧の方は、この負担が大きく、今までの統計では、出産後の母体死亡率が数10%と高くなります。また、そこまでに至らなくとも、出産後、心臓の状態が悪化することが少なくありません。また、赤ちゃんも早産、低出生体重という事が、非常に多くなります。そして、チアノーゼも大きな危険因子となります。特に、中等度以上のチアノーゼ(酸素飽和度が、80-85%以下)では、多くは流産になってしまいます。
このように、高度の肺高血圧とチアノーゼを認める場合は、母体、胎児ともに非常に危険率が高いため、以上の様な事をお話しして、医療関係者が、ご本人、ご家族と十分話し合って、妊娠するかどうかを決定する必要があります。妊娠出産時の危険だけでなく、母親の状況によっては、育児が出来ないこともありますので、家族のサポートが必要です。
ただ、このような危険を十分納得された上で、妊娠出産を強く希望される方は、いらっしゃいます。この場合は、産科、循環器科、麻酔科、新生児科などが、密接に連絡を取り合って、妊娠出産を進めることになります。いずれにせよ、医師、看護師、ご家族と十分に話をして、今後の方針を決める必要があります。

また、寿命についてですが、これも、病気の詳細が、不明ですので、お答えが難しいので、一般的にお答えします。
寿命は、チアノーゼの程度、心機能の程度、不整脈の有無、心不全の有無、喀血の有無などに左右されます。例えば、平地でも20-30mくらいしか歩けないというような場合は、短いと考えられますし、上にのべた条件が、良ければ、長く生きることが可能です。高度の肺高血圧とチアノーゼを認めるアイゼンメンゲル症候群という病気では、40歳代後半が、寿命とされていますが、70歳程度の方もいらっしゃいます。
また、妊娠出産でもそうですが、内科的治療の発達によって、予後も変わってきています。今後、例えば、肺高血圧に対する薬剤などの開発が進みますと、日常生活の程度も改善して、長く生きることも可能となる可能性があります。
文責:立野 滋