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心房中隔欠損症のカテーテル治療の現状

ご質問

21歳 女性

親御さんより

心房中隔欠損症(肺体血流比2.2-2.5)、02年9月に発覚。(カテーテル検査・心エコー検査・レントゲン・心電図)2.5cm径。手術適応あり、開胸手術・パッチ閉鎖法で、と言われていますが、手術のリスク及び開胸により心臓組織にメスをいれることによる術後の心不全のリスクを考えると開胸しない「カテーテル法による治療」を検討したい思いを抑え切れません。
当方は名古屋在住です。
  1. カテーテル治療の日本での症例数について
  2. 同じく、米・ヨーロッパでの症例数
  3. 日本での認可の見通し。何年後?
  4. カテーテル治療のリスク、どんなリスクでそのリスク率は?
  5. 小児でなく成人女性でも可か?
  6. 症例が多くある病院,大学,施設、と症例が多い先生について、教えて頂ける範囲で。
  7. 名古屋の場合、一番身近でご相談できる先生
をお教え頂けませんか。当ネットワークの高齢者の先天性心疾患に関してのご質問の24歳の女性からの質問と答えのページは、見させてもらっています。今のところ、この秋頃に手術をしようかと考えております。お忙しいところ恐れいりますが、少しでも教えて頂ければあありがたいのですが。なにとぞよろしくお願い致します。



お答え

今回のご質問については埼玉医科大学小児心臓科の小林俊樹先生にご協力いただきました。

  1. 日本での心房中隔欠損症のカテーテル治療の治療数は総計74例で、使用した閉鎖栓の種類はClamshell型が12例、Amplanz型が30例、Angel wingsが32例です。
  2. Amplanzは2001年12月にはFDA(米国の厚生省)の許可がおり、欧米では既に5万件以上施行されているようです。韓国、タイ、台湾を含め東南アジアのほぼ全て(日本以外)で使用されております。
  3. 経食道エコーを行うために全身麻酔が必要で全身麻酔に伴う危険と、左心房内でカテーテル操作中の空気塞栓の危険があり(左心房内に空気が入ると動脈に流れ込み各種臓器に空気が詰まるため脳梗塞や腎梗塞などの梗塞をきたす)、各閉鎖栓でこのリスク減少のためのプロトコール作りが行われております。リスクの具体的な数字ははっきりは言えませんが、大きなものを試みれば閉鎖栓の脱落等の危険が増加します。娘さんはエコー上で25mmあるようですので、実際にBalloonで拡張して必要な閉鎖栓の大きさを計測しますと、30mmは超えると思われます。Amplanz型では上限に近い大きさと思われます。
  4. 小児症例でなくても、成人でも適応を満たせば施行可能です。
  5. いつAmplanzが使えるようになるのかは厚生労働省次第ですが、当初ですと昨年の末にはと言われていたのが、いったいいつになるのか全く推測がつかない状況であり、保険点数がつき保健医療が行われるのがいつになるのか、メーカーも全く推測がつかない状況で我々も困惑しております。施行可能施設ですが、まだ予定ですが、とりあえず施設限定となる可能性が強いようです。国内でAmplanzに限らず心房中隔欠損症のカテーテル治療を行ったことのある医師または施設となるようです。具体的には西から、久留米大学、国立循環器病センター、国立小児(大蔵)、埼玉医科大学、札幌医科大学が候補のようです。
ご質問からは、大きさが適応の上限に近くカテーテル治療が可能としてもこの大きさを閉めるためには術者の習熟が要求されます。国内ではいつから使用可能となるか全く推測がつかない状況で、さらに経験を積んでいくにも時間がかかります。カテーテル治療を待っている間に増加する不整脈発症の危険性、肺血管への悪影響も考えなくてはならないと思います。
主治医の先生とよくお話をして、必要であればカテーテル治療の経験のある医師にセカンドオピニオンを求めることも可能かと思います。
文責:丹羽 公一郎・立野 滋