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心房中隔欠損症のカテーテル治療と金属アレルギー

ご質問

27歳 女性

先日、心房中隔欠損症と診断され、アンプラッツアー閉鎖術をやると思うのですが、私は金属アレルギーが少々あるのですが大丈夫なのでしょうか?ちなみに、安いチタンでできたピアス、ベルトのバックル、安い時計、指輪などでかぶれます。



お答え

1.心房中隔欠損症のカテーテル治療について

2005年8月より心房中隔欠損症のカテーテル治療が開始されました.現在治療を実施している施設は国立循環器病センター(大阪),埼玉医科大学,岡山大学の3ヶ所です.
この治療で使われる閉鎖栓はアンプラッツアー・セプタル・オクルーダーと呼ばれる形状記憶合金のメッシュで,二枚のかさを左心房と右心房で開き,欠損孔を閉じます(図).この方法は海外でも多数の治療経験があり,安全性の高い治療法と考えられています.閉鎖栓を心臓内に正確に留置するために,全身麻酔下にエックス線や経食道心エコーなどのモニターを用いて,治療を実施します.すべての心房中隔欠損症が治療可能というわけではありません.欠損孔が大きすぎる場合には閉鎖栓を留置できませんし,心房中隔の端に偏った欠損孔では閉鎖栓を安定して留置するのが難しくなります.この治療が可能かどうかは専門的な判断が必要ですので,実際の治療実施している施設もしくは専門の医師にご相談ください.なお現在,保険診療として認可されていませんので,自費による治療となります.
治療についての詳しい内容は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科 > 心房中隔欠損症のカテーテル治療についてもご参考にされてください.

2.心房中隔欠損症のカテーテル治療と金属アレルギーについて

心房中隔欠損症のカテーテル治療に使用されるアンプラッツアー・セプタル・オクルーダーはニッケルとチタンを中心とした形状記憶合金(ニチノール)で作られています.このうちニッケルはいろいろな装飾品に用いられる金属で,人によっては皮膚炎(かぶれ)を起こすことが知られています.
カテーテル治療と金属アレルギーの関係,もしくはニッケルアレルギーを持っている患者さんのカテーテル治療の是非については,この治療が開始された直後から国際的に論議されてきました.現在一般的な見解は,金属(ニッケル)アレルギーがあってもカテーテル治療は禁忌ではない(可能である),ということです.
実際の金属アレルギーは装飾品の中の金属,特にニッケルが汗や皮脂,ほこりなどに反応して溶け出して起こります.カテーテル治療では,閉鎖栓は体内で血液と接し,さらに数ヶ月で心臓の膜で完全に覆われてしまいますので,このような状況は起こりません.ただしこのようなアレルギーは,その他の要因(同時に使われる造影剤や抗生物質なと)も加わって,なかなか予測の難しいことです.どのような金属にどの程度のアレルギーがあるのか,皮膚のパッチテストや血液検査を治療前に行ったうえで,担当医と治療法について充分に相談されることをお勧めします.また治療後は原則としてアスピリンを6ヶ月間服用しますので,アスピリンにアレルギーのある人は事前に担当医と相談し,別の薬を使うようにします.
文責:赤木 禎治