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心房中隔欠損症と不整脈

ご質問

63歳 女性

お世話になります。妻の事でお聞きします。
1月27日に不整脈があるため町田市民病院循環器科で診察を受けました。「心臓弁膜症」の疑いがあると診断。その後エコー検査、カテーテル検査で「心房中隔欠損症」と診断されました(検査結果は以下のとおりです)。
  • 穴の大きさ 1cm×2cm・位置 真中
  • 圧力 右心房1.0 左心房3.0 圧力差2.0
  • 肺への血流量 2.01倍・肺血圧 34mmHg
検査結果からパッチ閉鎖法のによる手術を進められていますが、薬による治療方法は無いのでしょうか。



お答え

不整脈と心房中隔欠損症の二つの問題があり、ご質問の様子から、現在は症状もなくあまりお困りの様子ではありませんので、治療の必要性がまだご理解できていないような印象を受けます。
まず心房中隔欠損症について、体血流の 2 倍の肺血流があるのであれば手術の適応に入ります。心房中隔欠損症にたいしては薬で治療するのは不可能で、手術かカテーテル治療の選択になります。ただし他の以前に 2 度ほどご質問があり回答が掲載されておりますが、カテーテル治療は未だ日本では保険適応になっておりません。詳細は該当の項を参照してください。いずれにしましてもこのdataからは今後、加齢とともに左室の筋肉が厚くなり、穴を通る血液も今後は増加することが予想され、心不全症状が出現してきますので、手術なり、何年か待ってカテーテル治療をする必要はあると思われます。
不整脈に関して、病名が記載されておりませんので正確なお答えは難しいのですが、心房細動が最も多く合併しますので、心房細動についてお答え致します。心房中隔欠損症の場合、穴を通る血液により心房が拡大することで心房細動が起こりやすくなります。若いときに手術するとその発症は低くなります。ほとんどは慢性の心房細動です。40歳以上ですと手術をしても術後再発することが多いことが知られています。そのため穴をふさぐ手術とともに心房細動に対するメイズ術を施行することで再発を予防することが必要となります。不整脈に対するカテーテル治療も最近は発達しておりますが、心房細動に対してはそれが発作性である場合で、起源が肺静脈にある場合に適応になりますし、心房中隔欠損症に合併する心房細動に対するカテーテルアブレーションは未だ確立されたものはありません。他に薬による不整脈の治療もありますが、基礎心疾患がありますと薬剤抵抗性である場合が多く、またかなり強い薬も必要になります。
63歳という年齢で、糖尿病、高血圧といった他の合併症の有無により治療の選択をしなければならないと思いますので、ここでどの治療がベストということは言えませんが、心房細動を合併していて、このdataで他に合併症がなければやはり穴をふさぐ手術とメイズ手術がいいと思います。次に不整脈が心房細動でない場合は少し待って(いつになるか全く不明ですが)カテーテルにより穴をふさぐという治療も検討すべきかと思います。心房細動は心房内に血栓を作りそれが脳梗塞の原因になることもあるので、重症度によりいろんな薬物治療が必要になり、また一生薬を飲む必要がある場合もあります。
現在の症状、合併症、生活設計もありますので、以上をご参考にして頂き、主治医の先生とよくご相談頂ければと思います。
文責:立野 滋