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ファロー四徴症と妊娠、診療記録

ご質問

28歳 女性

現在28歳で、ファロー四徴症の手術を3歳時で行い、その後経過観察の通院(最初の頃は年2~3回)術後10年め位からは1年に1回で、主にレントゲン、心電図、問診(15年位前は超音波をやったりしましたが、ここ数年は検査類がナシの時もありました)を行なっておりました。
執刀して頂いた主治医の先生が定年になり、5年程経ちます。その間診察をしていません。この度妊娠し、近くの総合病院に行こうと思うのですが、自分がどのような処置や検査、手術内容をしてもらって、どのようにこの年までやってきたか分からず、困っています。手術してもらった病院は現在は遠方の為、なかなか行けない状態です。これから行こうと思っている病院へカルテの提示等頼めないでしょうか?またどのようにお願いするのが通常なのでしょうか?
一度元々通っていた総合病院の看護婦さんにお電話で相談した際には、カルテは5年で破棄してしまうので・・・。と言われましまったので、それ以上何も言えなくなってしまいました。お忙しい所、大変恐縮ですが、どうすれば良いか是非教えて下さい。



お答え

25年前(1980年頃)に3歳でファロー四徴症の心内修復術を受け、比較的順調な経過だった。1年に1回定期受診をしていたが、5年前に担当の執刀医が定年退職となってからは受診していない。妊娠したので近くの総合病院にいったら、これまでの診療経過を尋ねられたが、答えられなかった。手術を受けた病院は遠いので、どうしたものか困っている...。以上のように要約し、それを前提にご説明します。
ファロー四徴症は良好に修復され、妊娠前の心臓の状態が良好であれば、妊娠・出産の危険度は比較的低く、一般と同じ程度であるとされています。具体的には、チアノーゼの残存が無く、肺動脈弁の狭窄・逆流や三尖弁逆流が軽症にとどまり、心機能が良好で、特別な自覚症状は無いなどの条件が求められます。ただ、良好な条件であっても、妊娠経過とともに心臓の負担が増えて、病状の悪化がおこる可能性があるので、個人病院ではなく総合病院などでの出産が望ましいと思います。一方、ある程度以上の検査異常や、自覚症状がある場合は、先天性心疾患の診療を行っている病院での妊娠・出産の管理が必要となります。このように、より安全なお産を目指すには、過去の診療記録の入手と、現在の心臓の状態の評価が不可欠となります。
25年前にファロー四徴症の心内修復術を行えた病院であれば、たとえ5年間受診していなくても、診療記録は残っている可能性が高いと思います(既に記録の保管義務はありませんが)。しかし、個人情報保護の観点からは、受診せずに診療記録を取り寄せることはハードルが高い行為なので、一度は手術した病院を受診することをおすすめします。成人の先天性心疾患の患者さんの診療は、多くの施設では、小児科の循環器専門医が中心となって行っています。受診の際に、現在の心臓の状態を評価してもらって、産婦人科などへの紹介状を書いてもらうとよいと思います。5年間も受診していないと、診療記録が倉庫の奥深くに眠っている可能性もあります。25年前からの診療記録をもとに、面識のない患者さんの紹介状を書くには、ある程度の時間と労力が必要とされます。あらかじめ電話などで事情を説明して、予約をとってから受診することをおすすめします。もし、どうしても手術を受けた病院を受診できないなら、そのことも含めて、とりあえず電話などで、事情をお話しし(以前診てもらっていた医師が定年退職してしまったが、どの医者に診てもらえば良いか、或いは、以前の手術内容などについてどの医者に相談すればよいかなど)を、直接相談されるとよいと思います。
文責:川副 泰隆