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ファロー四徴症と大動脈弁閉鎖不全症

ご質問

29歳 女性

【経過】2歳のころ、先天性ファロー四徴症と診断され手術を行う。その後定期健診のあと、18歳のときに転院。24歳の定期健診の際、異常が見つかりカテーテル検査を行った結果、右心室と左心室の壁から血液が漏れているとの診断だった。特には問題ないとのこと。28歳の定期健診の際に大動脈弁に異常が見つかり、再度カテーテル検査を行った結果、レベル3であり、大動脈弁置換手術(生体弁)を行う。しかしながら、術後に心臓の動悸が早くなり、ぼこっとした感覚があるとともに、呼吸が苦しくなることも時々ある。その時には他人から指摘を受けるぐらい胸が動いている。しかしながら、主治医は特に問題ないとの認識。手術がうまくいっているのかが不安です。外科の先生の見解は弁が少し曲がっているとのこと。

【質問】手術前と同じ症状(ぼこっとした感覚)があるが、問題はないのか?(手術は成功しているのか?)
今回生体弁を使用したが、次回の手術時期はいつごろか?
日常生活には問題がないのか?
妊娠出産は問題ないのか?
術後の症状があまり変わらないため、非常に不安です。素人のためわからず、主治医も少し頼りないです。病院を変えることも考えています。



お答え

ファロー四徴症は、肺動脈が細い分、大動脈に流れる血液の量が多いことと大動脈の壁が脆弱なため、大動脈が拡張して、大動脈径が太いことが普通です。10%程度の人で、手術の後でも大動脈拡張が持続、進行しつづけます。数%の人では、大動脈瘤(径が50mm以上)、大動脈弁閉鎖不全を伴い、手術が必要になります。大動脈弁閉鎖不全のみ高度の人もいます。そのような人の場合は、手術により大動脈弁置換を行うことがあります(上行大動脈自体を同時に置換する場合もあります。)この場合、機械弁を入れる場合と生体弁を入れる場合がありますが、出産前の女性の場合は、生体弁を入れることが殆どです(機械弁はワーファリンを服用しなければならないので、胎児への催奇形性などの問題があり、妊娠中の管理が非常に難しくなります)。妊娠を経過することにより、生体弁は劣化しやすいとする報告もありますが、最近は、大きな影響は無いとする報告が多くみられています。しかし、年数の経過とともに劣化します。生体弁で、大動脈の場合は、肺動脈と異なり、劣化が早いのが普通です。10年内外で、再手術の可能性があると思われます。そのころには、子供を産んでいる可能性が高いと思われますので、次回は、機械弁という選択があります(機械弁の方が長持ちします)。
ぼこっとした感覚という言葉、よくわかりませんが、もし、動悸が強く、息苦しくなる。急に脈が速くなり、しばらくすると急に元に戻るというような状況であれば、頻拍型不整脈だと思われます。上室性頻拍と心室頻拍(不整脈の項を参照ください)に分かれますが、上室性は、10-15%に認められます。長く続く場合、あるいは心室頻拍は、薬物治療、カテーテル治療などを行うことがあります。ホルター心電図、イベントレコーダーなどで、不整脈かどうか、どの様な不整脈かなどを調べることができます。不整脈は、成人期の再手術の際は、手術後も再発することが、少なくありません。ただ、心臓の負担は軽減していますので(逆流が無くなっていることなど)、不整脈は、やや起こりにくく、停止しやすくなるとされています。心不全に関連した、息切れ、呼吸困難などは、軽減することが多いと思います。術前、症状が無く、逆流の進行の予防のために手術を行うことも少なくありませんが、この場合は、将来の悪化は防げますが、術後も症状は、殆ど変わりません。
生体弁置換後で、心臓の働きに大きな問題が無い場合は、中等度までの運動を含め、一般に近い日常生活を送れます。ただ、感染性心内膜炎のハイリスクにあたりますので、歯科治療などの際に、感染予防が必要です。妊娠出産は、普段、ほぼ普通に生活ができているか?心不全症状がないか?心機能はどうか?などによります。一般的に、日常生活をほぼ普通にできているならば、妊娠出産は十分に可能です。ただ、妊娠中出産後に、軽度心不全、不整脈などを認める場合がありますが、治療は可能です。普段薬剤を服用している場合は、胎児への影響を考慮する必要があります。いずれにせよ、主治医とよくおはなしされることが重要なのは、いうまでもありません。
文責:丹羽 公一郎