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心房中隔欠損(ASD)の不整脈に関してのご質問

ご質問

40歳 男性

現在40歳男性サラリーマン(主に机で事務)、38歳時、初めてASDの診断を受け、99年4月、ASDの穴を閉じる手術を受けた 手術はポートアクセス法との説明で、現在通院はしているものの、特に制限されている事項はない

既往症はなかったが、手術前後より高血圧としてヘルベッサー100、タナトリル50を1日2回服用

質問は以下の3点です
  1. 不整脈はどの程度の頻度で発生するのか
  2. 一般的に生活上注意すべき点はあるか
  3. 重大な不整脈は起こればすぐ自分でわかる




お答え

1.ASDに合併する不整脈

一般的にはASDに合併する不整脈では、心房に起因する心房性不整脈(心房粗動、心房細動)が問題になります。ASDでは、心房に対する負荷が加わります。これが、年齢を経過するに伴い、心房性不整脈発生の原因となります。 従って、おおむね30歳以前にASDの手術を行った場合は、術前、術後ともにこの不整脈を合併することはありません。 成人のASD手術を対象とした場合、この不整脈の頻度は、術前に20%程度に認められます。(認められる人の平均年齢は50歳台後半、認めない人の平均年齢は30台後半です)手術を行った場合でも、50%-60%以上の人は、この不整脈が持続します。(慢性の不整脈と考えて良いと思います。) 一方、40歳を過ぎてからの手術の場合は、術前にこの不整脈が無くとも、手術後時間の経過とともに、それ以前の手術と比べ、不整脈の合併頻度が明らかに高くなります。40歳以上の手術で、10-20%の人に術後、不整脈が合併するようになります。 これらの不整脈は、薬物療法で完全に治すことは難しいので、現在、不整脈の継続することが予想される患者さんに対して、手術中にこの不整脈を治療、予防する手術方法をとる施設もでてきました。しかし、この方法の大規模な調査はなされていませんので、その効果については、今のところ十分な評価は出来ません。

2.心房粗動・心房細動について

正常では自然のペ-スメ-カ-である洞結節から発生した電気刺激が心房内に伝わり、筋肉を刺激して1分間に60-80回程度で収縮します。ところが心房粗動では、心房をサ-キット場のようにして車がくるくる回り続けるように電気刺激が回り続けます。その結果心房は1分間に300回前後で収縮します。心室にはそのまま刺激が伝わることは少なく概ね心房が2回から3回収縮すると心室が1回刺激されるので、心拍数は100-150回程度のことが多くみられます。しかし運動したりすると心臓が興奮しやすくなり200-250回の心拍数になることもあります。治療は薬物療法と、カテ-テルアブレ-ションがあり、後者はサ-キットの経路を診断しその一部を通行止めにするように電気で心房筋を焼灼します。

これに対して心房細動は心房各所で規則性無くそこかしこで電気な活動が起きます。決まったサ-キットはなく何十台もの車が空き地を勝手に走っているような感じで、心房は1分間に400回以上で興奮しています。ただしこの場合も心室へは3-4回に1回程度しか伝わらず、心拍数は80-150回程度に保たれます。治療は薬物療法、手術で心房に多数の切開線を加え迷路を作る方法(これにより車が暴走するのを防ぎます)、また最近は発作性の心房細動の一部は心房のある一カ所から発作がはじまることがわかりその場所をカテ-テルアブレ-ションで焼灼する方法も注目されています。

3.症状等について

多くの場合は動悸で発症します。運動しているときや興奮しているときに出現すると脈が速すぎるために血圧が低下しめまいが出現することもあります。しかし心房粗動や心房細動の場合は心機能が悪くなければ、概ね脈拍はそれほど早くなることはなく、すぐに命に関わることは稀です。しかし、心房細動が慢性的に続くと心臓機能が悪くなり、血液の固まり(血栓)が出来、脳梗塞を起こすことがあります。そこで、上に述べたような症状が続く場合には、専門医を受診する必要があります。

また一般的に不整脈がでやすい状況というのは、疲労、寝不足、飲酒、二日酔の時に多いとされています
文責:丹羽 公一郎 立野 滋