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疾患について

術後遠隔期の問題点 —遺残症、続発症と後期合併症— とは何か

 心臓血管外科手術などの有効な治療により、心疾患を持って生まれた小児は、長期の生存が可能になりました。それとともに、術後長期間経過したのちに発症してくる術後遠隔期の問題点が明らかになりました。小児の頃に、適切な心臓手術が行われていても、それぞれの疾患、手術方法(術式)に伴う特徴的な心臓の形や働き(心機能)の異常が徐々に悪化して、成人後に治療を必要とすることがあります。ファロー四徴の手術で、右室流出路の狭窄のように術前からあった異常が術後も残存することを遺残症といいます。肺動脈弁逆流のように術前にはなかったが必然的に手術に伴い新たに生じる異常を続発症といいます。これらが、年齢がたつとともに問題となるのです。先天性心疾患手術の多くは、手術後の管理は必要のない、いわゆる根治手術ではなく、元々の疾患に特徴的な遺残症、続発症を伴います。この様なことがわかってきたため、最近では、先天性心疾患手術は、血液の流れを修正する修復手術と呼ばれます。また、年齢が進むにつれて、元々の心疾患の状態そのものが悪化することも少なくありません。これらを後期(晩期)合併症と呼びます。心機能(心臓の働き)の低下、不整脈、心不全、弁膜症(心臓の弁の劣化、逆流や狭窄)の進行や、感染性心内膜炎などが含まれます(表4)。また、高血圧、冠動脈異常の合併や非心臓手術の際に病状が影響を受け、悪化することもあります。また、成人期には、就業、保険、結婚、心理的社会的問題、喫煙など成人特有の問題も抱えます。このため、先天性心疾患の手術後は長期の継続的な経過観察が不可欠です。一方で、成人となり、年齢が進み、心不全あるいは感染性心内膜炎などが出現して初めて生まれつきの心疾患を持っていたことがわかることがあります(心房中隔欠損、大動脈二尖弁など)。


文責:丹羽 公一郎