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成人期先天性心疾患の問題点

 先天性心疾患や川崎病後冠動脈瘤は、成人になっても継続的な経過観察や治療が必要です。このような小児期から心臓病を患っている方の多くが成人となっており、わが国では、現在、成人先天性心疾患数は50万人近くにのぼると推定されています。日本の生産児の出生数が100万人/年と,そのうちの1%が先天性心疾患で、95%程度が成人となると推定されます。今後、約9,000から10,000人/年程度増加すると思われます。これは年間の心筋梗塞の患者数を上回るほどの多くの人数です。中等症から重症の成人先天性心疾患患者数は、成人先天性心疾患患者数全体の約1/3(32%)を占めています。これらの方の殆どは、経過観察が必要であり、加齢とともに、心疾患に対する治療が必要になることが少なくありません。軽症とされる先天性心疾患の方も、不整脈など後期合併症を伴うことがあり、成人後も継続して経過観察、加療を必要とする場合が少なくありません。
 先天性心疾患の方は加齢に伴い、心機能の低下、不整脈、心不全、血栓塞栓などを起こすことがあり、これにより病状や生命予後が影響を受けます。成人向けの診療体制を構築したり、成人に向かう患者本人が自分の病気を理解したりするなどの移行診療をどのように進めて行くかも大きな問題です。成人となった方は、自分の先天性心疾患の病名だけではなく、その特徴、以前受けた手術内容、病状の把握、今後注意することや今後の治療方法を理解しておくことが必要です。

文責:丹羽 公一郎